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海野和男のデジタル昆虫記

連載「日本昆虫記」29 アキアカネの産卵

連載「日本昆虫記」29 アキアカネの産卵
2010年05月03日

 稲刈りが終わった田んぼに行くと、アカトンボが2匹つながって飛んでいる光景を見ることがあります。前日に雨が降って、田んぼに水がたまっている場所があればしめたものです。青空をバックに、つながったままのアカトンボが次々と飛来します。前がオスで、後ろがメスです。
 水たまりを見つけたアカトンボのカップルは、オスがよいしょという感じで体をスナップすると、メスがおしりの先を水たまりに打ち付けます。卵を産んでいるのです。このアカトンボはアキアカネです。アカトンボにはたくさんの種類がいます。よく似たナツアカネはもう少し早い時期に稲がまだ刈られていない田んぼで、オスとメスがつながったまま、空中から卵を産み落とします。
 卵は乾燥にも耐え、翌年、田んぼに水が入るとふ化をします。6月末から7月はじめに成長したヤゴは稲を登り、トンボになります。アキアカネは人が田んぼを作ることで増えたトンボだと思います。冬に水を抜いてしまう田んぼでは、幼虫で冬を越すトンボは生きていくことが難しいので、競争相手も少なくなります。アキアカネが暮らすしやすい環境を、人が田んぼを作ることで増やしたのではないでしょうか。
 夏に標高の高い高原に行くとアキアカネがたくさん群れています。色は黄色でまだ赤くなっていません。夏の間涼しい高原で過ごし、9月末になると赤く色づき、生まれ故郷の田んぼを目指して山を下りてくるのです。アキアカネは平地と山を行き来して暮らすトンボなのです。
 
7月のはじめに羽化したアキアカネは夏は高原で過ごす(上)、下はつながったまま田んぼの水たまり飛んできたアキアカネのカップル。オスはメスと比べて赤い色が鮮やかだ

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