現在ニューギニア取材旅行中です。小諸日記は前もって作っておいた「デジカメ自然観察」を連載で掲載しています。現地からの日記も状況の許す限り更新したいと思っています。

　「海野和男のデジタル昆虫記」と名付けたホームページを1998年からはじめていた。当時は昆虫フォトギャラリー、リアルタイム中継、撮影技術とアトリエ、プロフイール、高速度撮影カメラの世界の5本立てで初め、内容を徐々に充実させていたところだった。
　昆虫フォトギャラリーは昆虫写真の魅力をテーマに合わせて紹介します。というキャッチフレーズで、まず熱帯雨林の昆虫たちということでアフリカ、マレー・熱帯アジア、オーストラリア、中南米の4地域の昆虫を紹介、その後擬態のページも作り枯葉、枝、苔、幹、緑の葉にそれぞれ似た昆虫を紹介してみせた。高速度撮影カメラの世界では秒500コマという高速度ビデオで撮影したハナカマキリの捕食などをダウンロードして見ることができるようにもした。
　撮影技術とアトリエでは、ぼくの撮影テクニックも公開。ぼくが改造したカメラや、そのカメラでの撮影法。ビデオの撮影技術など主にテクニックもどんどん追加していた。けれどホームページはしょっちゅう新しいデータがないと面白くないとも思っていた。そこでリアルタイム中継にも力を入れていた。これは一日中ビデオカメラを回しっぱなしにして、そこに映る映像を常時更新するシステムだ。ところがやってみるとなはだ都合が悪いことがわかった。ビデオのデータは大きいので当時の普通の電話回線では一駒ずつしか送れない。常時接続しても、せいぜい1分に一枚しか送れないのだ。これではビデオの意味がない。昆虫は1分どころか1秒後には画面の外に出てしまうから、次の場面を見ることができない。
　デジカメが気に入ってしまったぼくは、これをホームページで使いたいなと思った。早速デジタルカメラで写してそのまま送信できるようなページを作ることにした。それがこの「小諸日記」だ。1999年の2月のことだ。
　1999年の春が来て昆虫たちの季節がはじまると、伝えたいことがたくさんある。どうしても一枚では済まず、1日に何枚も写真を入れるようになった。例えば今日庭に来たチョウなどという題で。24枚の写真で一画面を作ったりもしました。
　夏が終わるころにはしらない間に何と毎日更新をしていた。調べてみたら最後に休んだのが1999年8月11日だ。この時はデジカメの取材で出かけていたのだが、電話線を忘れ、やむを得ず休んだのだ。それ以来休み無しで、ぼくができないときはスタッフの高嶋君が担当して、6年も無欠勤で続けている。小諸日記を年無欠勤更新したことに気がついたのは2000年08月19日だ。
　ホームページの面白いところは、自分が面白いと思ったことをダイレクトに読者に伝えることができることだ。いろいろな昆虫の写真を撮るが、本で発表できるのはごく一部だ。自分で発表したいと思っても、また何人かの人が見たいと思っても、本は商品だからどうしても一般的な昆虫しか登場させられない。そう言った記録を残すのにもHPはとても面白い媒体だと思うのだ。
　毎日その日撮った写真でその日の内に更新をモットーとしたので、デジカメがあってはじめてできたことなのだ。今では当たり前のようにも思うが、ほんの5年前はインターネットの接続の煩雑さや回線の遅さ、デジカメの性能が今ひとつなどまだまだ、ハードルが高かった。（「デジカメ自然観察のすすめ」（岩波ジュニア新書）からの抜粋を書き直したものです。本をお買い求め頂ければ幸いです。）
　写真は1999年08月17日の日記より。オリンパス2500XLなど

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