日本を愛してやまないポールさんですが、そのきっかけは?
2005年 居合道の師匠とのコラボレーション
夫人の志野デスーザさんとアリゾナで
インドでの少年時代に沖縄空手を学んでいましたが、本格的に日本に興味を持ち始めたのは、1996年にカリフォルニアで日本人の居合道の師匠に出会ったことがきっかけでした。そして翌年から、師匠に会うために度々日本を訪れるようになりました。その後、居合道と共に武士道を学びましたが、その精神は、私が開発した『和道』の根底に流れています。また、2007年に日本人女性と結婚したことにより、ますますこの国が身近になりました。日本の人々、文化、食事、自然などの全てに、深い親しみと敬愛を抱いています。
日本で『和道』を広められたい理由は?
『和道』を広めることは、私個人の欲求を越えた、天命と思っています。私は『和道』ワークショップの開催のために、これまでに ニューヨークを始めとしたアメリカの各都市、ヨーロッパではマドリッド、ルクセンブルク、南米のブエノスアイレス、サン・パウロなどの世界の都市を訪れて来ましたが、各都市での人々の悩みや課題は共通しています。それは「愛、家族、健康、お金(ビジネス)、そして孤独」です。
中でも、特に日本の人々には、根本的な対策が必要に思えます。人口密度の高い都市生活の中において、物理的に人との距離が近いものの、人と人との心の繋がりは薄れ、人々の孤独感は増す一方ではありませんか? 先進諸国での自殺率が最も高いのは日本です。 東京などの日本の街を歩くと、人々は最新のファッションやテクノロジーに囲まれて一見とても豊かに見えますが、私にはこうした人々の心の痛みや叫びが聞こえてなりません。この人々の「声」が、私を日本に呼んでいるのです。
今4月に東京で開催された『和道』ワークショップの手応えはいかがでしたか?
今年4月、日本での『和道』ワークショップ
日本での『和道』ワークショップは昨年末に始め、まだわずか2回ですが、すでに大きな手応えを感じています。日本の方々は欧米の方と比べてとても静かですが、内にたくさんの想いとエネルギーを秘めていることが分かって来ました。武士の時代から脈々と流れる礼儀正しさや、和を重んじる心そして組織への忠誠心や、年配の方への敬いなどの日本人の美徳は、欧米化した熾烈な競争社会の中で居場所を失いつつあり、人々のライフスタイルに混乱を招いているように見えます。
私のワークショップでは、この混沌とした社会において、ご自分の人生の意義や目的を見出し、周囲との調和を奏でながら力強く生きることを説いていますが、参加された皆様には、それぞれ大きな収穫を得て帰って頂けました。中には『和道』に賛同され、今後のワークショップを支援して下さる方々も現れ始めました。今後も皆様のご期待に添うべく、定期的に日本でのワークショップを開催し、また近い将来においては、大自然の中でのリトリートワークショップも構想に挙っています。
最後に、『和道』とは「持続可能な幸せを創造する哲学」とのことですが、ポールさんにとって「幸せ」とは何でしょうか?
多くの人々が「今よりも幸せになりたい」と幸せ探しをしていることでしょう。しかし、幸せはどこか遠くにあるものではなく、また誰かが運んで来てくれるものでもありません。
幸せとは、目的のある人生を生きる過程に生まれる副産物です。幸せになるために生きるのではなく、目的意識を持って自分と向き合った結果、誰のものでもない、自分だけの幸福の形が見えて来ます。ですから、人の幸せそうな状況を羨んだり、比較をすることに全く意味はありません。「自分の本当に求めていることは何か?」「自分は何のために生きているのか?」といった答えは、自分で見出さなくてはなりません。それは天が用意してくれている、自分だけの人生のシナリオを解読する作業にも似ています。自分の凝り固まったエゴを解放し、宇宙の摂理と調和して生きて初めて、人は穏やかで力強い幸福感を感じることが出来るのです。
次回ワークショップ開催のお知らせをご希望の方はshino@dsouzagroup.com までご連絡下さい。