ゲストトークの後はブレイクアウトルーム(小部屋)にわかれて、「あなただったらWOTAの技術を活用して、どんなことをしてみたいですか?」というテーマの他、これまでのお話から感じたことや気づいたことを自由に語り合いました。
参加者からは、以下のような意見や感想がありました。
対話の後は、参加者からの質問を交えた全体セッションが行われました。
参加者1:
海外を含め様々なところで使われ始めているとのことですが、メンテナンスがきちんとできるのか気になります。
越智:
2022年の静岡県清水地区の断水時、最初の3日間はWOTAスタッフがボランティアで行きましたが、2時間程度のレクチャーの後は現地の方だけで「WOTA BOX」を運用することができました。手洗い機「WOSH」のメンテナンスも、設置している施設のアルバイトの方などに行っていただけています。
水の処理は自動なのでフィルターの交換などが問題となりますが、感覚的にはプリンターのトナーの交換レベルの簡単さにこだわって開発しています。
参加者2:
従来型の水処理施設は個別設計で運用が難しいというお話しでしたが、どうして運用しにくいものをつくってしまったのでしょうか?
越智:
水源ごとに水質が違うのでその水源ごとの対応が必要で、給水人口も地域によって違うので個別設計になったのは仕方ないと思っています。
例えば世界中に橋はたくさんありますが、まったく同じ橋はありません。川を渡るだけというシンプルな構造なのに、同じ橋がないのと同じように考えてもらえればわかりやすいのではと個人的には思います。
参加者3:
WOTAの水処理技術では生物処理も使われますが、生物処理をするにはある程度の温度が必要です。どのような地域のどのような温度でも対応できるのでしょうか?また交換したフィルターはどのように処理されるのでしょうか?
越智:
現在下水処理場で行われている生物処理では、夏と冬では処理能力に3倍ぐらいの開きがあります。なのでいちばん大変な冬に合わせて大きくつくっています。
私たちの製品はサイズが小さいことが売りなので、いかにして小さい中に生物処理を収め、一定の温度をキープするというのが重要なポイントになってきます。処理自体は様々な気候に対応できますが、より効率的な処理のためにこれからもアップデートしていきたいと思います。
フィルターは廃棄処理が必要なものはWOTAが回収しています。WOTAの基本的な考えとして、水問題解決のためには、地域の方々に解決していただけるような仕組みを提供することが、結果として解決が早くなる、と考えています。
参加者4:
WOTAの製品を水道代わりに使うとなると、法的にクリアしなければいけないことがたくさんあると思いますがいかがですか。
越智:
水道インフラの代わりに使っていただくものなので、水質51項目など法律で決まっている厳しい基準をクリアするものを提供しています。行政とやりとりするときは、きちんと結果を共有しながら進めています。
参加者5:
すばらしい技術ですが値段が気になります。
越智:
「WOTA BOX」は現在1台500万円程度で販売しています。ランニングコストは水質によって変わるので一概に言えませんが、継続的に稼働させるものではなく緊急的に使っていただくものとして設計をしています。「WOSH」の場合は平均的に1ヶ月に1回のフィルター交換と想定すると毎月1万円のランニングコストで1日100回以上手が洗えます。
長年にわたり毎日使う住宅接続型の場合は、ランニングコストをいかに下げるかを意識しています。今は年間で水道料金と同じぐらいまで抑えられています。製品の普及につれコストが下がりますので、今後はもっと低価格で提供できると考えています。