住宅の省エネ基準の再検討
2019年8月8日、経済産業省及び国土交通省は小委員会による合同会議を開催し、建築物エネルギー消費性能基準等について今後の方向性を示した。
現行の建築物エネルギー消費性能基準等は、建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準であり、一次エネルギー消費量基準と外皮基準からなる。
一次エネルギー消費量は、空調・照明・給湯等のエネルギー消費量の合計から太陽光発電設備等による創エネ量を差し引いた値のこと。
外皮基準は住宅のみに適用され、外皮(外壁・窓等)の表面積当たりの熱の損失量。住宅・建築物それぞれについて、省エネ基準、誘導基準、住宅トップランナー基準の種類に応じて、一次エネルギー消費量基準(一次エネ基準)や外皮基準の水準が定められている。
合同会議では、改正建築物省エネ法により影響を受ける住宅トップランナー基準など、複数の点について課題と検討の方向性案が示された。
2024年度までの新たな目標
住宅トップランナー基準は、現状では、一次エネルギー基準は各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準からマイナス15%に適合すること、外皮基準は各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合することと定められている。
改正建築物省エネ法により、注文戸建住宅や賃貸アパートが住宅トップランナー制度の対象に追加されたため、それぞれについて、トップランナー基準の目標年度・水準を設定することが必要となることや、現行の基準への達成状況を踏まえ、目標年度・水準の改正を検討することが必要であることが課題として挙げられた。
住宅トップランナー制度の実施に当たっては、供給戸数が新築住宅の中で大きな比重を占める注文戸建住宅や賃貸アパートの建築を大量に請け負う住宅事業者全体が省エネ性能の向上に取り組むことで新築住宅全体の省エネ性能の向上を図ることが重要とされた。
これを踏まえ、新たな水準として、注文戸建住宅においては、一次エネルギー基準が各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準に比べて25%削減、外皮基準が各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合という目標が提示された。
また賃貸アパートにおいては、一次エネルギー基準各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準に比べて10%削減、外皮基準が各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合という目標が提示された。注文戸建住宅・賃貸アパートともに目標年度は2024年度となる。
あわせて、基準の再設定を検討する時期に係る考え方として、制度の対象となる事業者が供給する住宅の省エネ性能の現状を踏まえ、大半の事業者が現行の基準に適合している場合に再設定の必要性について検討し、こうした状況でない場合は、現行の水準値を据え置くことと、基準を再設定する際には、今回と同様の考え方で目標年度・水準を検討することも示された。
(画像はホームページより)
▼外部リンク
経済産業省 建築物エネルギー消費性能基準等に係る概要案
について
https://www.meti.go.jp/