東京から日帰りで行けて非日常的な旅行気分が味わえる横浜。西洋館が立ち並び異国情緒が感じられる元町・山手エリアや、四季折々の風景で心癒される日本庭園など、歴史的な建築物が数多く残されています。近年では人気のパン屋さんやトレンドのカフェなど次々に新しい観光名所が誕生しており、行くたびに新しい発見も。今回は横浜のレトロとトレンドを存分に体験できる魅力的なスポットをご紹介します。
本牧にある「三溪園」は、実業家で茶人の原三溪によって造られた日本庭園。東京ドーム4個分の面積を誇る広大な庭園内は、国の重要文化財建造物10棟、横浜市指定有形文化財建造物3棟を含む17棟の建築物を四季折々の景色とともに楽しむことができます。
木造の塔では関東最古となる「旧燈明寺三重塔」は、庭園のランドマーク的存在。三溪園のほぼどこからでも見ることができます。
原家が私邸として使用していた内苑エリアは、かつては桃山御殿と称された「臨春閣(リンシュンカク)」を中心に古建設と庭園が一体となった空間が広がります。「三溪園」は紅葉の名所でもあり、秋の紅葉の時期は赤紅葉や銀杏が鮮やかに色づき、11月下旬から見頃に。
豊臣秀吉によって建てられた「旧天瑞寺寿塔覆堂」の裏側の小道には、まるで絨毯のように一面に広がる銀杏の美しい光景を楽しむことができます。
明治39年に一般向けに公開された外苑エリアの東奥に向かうと、大きな茅葺き屋根が見えてきます。こちらは、飛騨・白川郷から移築された合掌造りの重要文化財「旧矢箆原家住宅」で、園内にある歴史的建造物の中で唯一内部を見学できる建物です。屋内では飛騨地方で使われた民具を展示しているほか、囲炉裏では毎日薪がくべられ火が焚かれており、黒光りした柱や煙の匂いが当時の生活をほうふつとさせてくれます。
食パン発祥の地として知られる横浜には、老舗店から地元に愛される人気店まで個性的なパン屋さんが多く点在しています。元町商店街から代官坂を上がっていく途中にある「BLUFF BAKERY(ブラフベーカリー)」は、2010年にオープンしたニューヨークスタイルのブーランジェリー。
毎日100種類以上焼き上げるパンの中で一番人気は「キャロットケーキ」。キタノカオリを使用した「ブラフブレッド」や、ミルクとパンが一体化するよう薄力粉を使用するなど口どけを意識した「ミルクスティック」も人気です。
みなとみらい線「元町・中華街駅」からすぐの場所にある「MARINE BAKERY(マリンベーカリー)」は、2019年にオープンしたフランスベーカリー。フランス製とイタリア製のオーブンで焼き上げる多くのパンはルヴァン種を使用し、風味豊かに焼き上げられています。
「エッグタルト」は、発酵バターをふんだんに折り込んだパイ生地に、クリーミーでくちどけの良い濃厚なカスタードを流し込んで焼いたお店一番人気。パイ生地の層を縦に作ることで油が綺麗に抜け落ちザクザクとした食感になる工夫も。バターの風味も豊かで1個食べるともう一つ食べたくなるくらい絶品です。
横浜元町の仲通り入口にある1888年創業の「ウチキパン」は、横浜元町で130年以上続く老舗ベーカリー。常時60~70種類そろうパンの中で一押しは、創業当時から変わらない製法で作られている山型食パン「イングランド」。そのほかクロワッサン生地を帽子のように巻き上げた「ソンブレロ」や、紅茶の茶葉を練りこんだ生地に練乳クリームを挟んだ「ティークリーム」も人気です。
それぞれ焼き上がり時間が異なるパンは12時頃が一番品揃えがよく、人気のパンは早めに売り切れる場合もあるのだそう。お目当てのパンを購入しに元町に出かけてみてくださいね。
パン屋巡りを楽しんだ後は、坂を上って「港の見える丘公園」へ。天気が良い日は、元町で購入したパンを絶景を眺めながら食べるのもいいですね。食後は、四季を通して様々なバラや草花が咲き誇る「ローズガーデン」の散策はいかが。お花の香りを楽しんだり写真を撮ったりしてリフレッシュできそうです。
外国人居留地の面影が残り、異国情緒あふれる街並みの横浜山手には7つの西洋館が佇んでいます。「ベーリック・ホール」は、イギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅として1930年に設計された洋館で、2002年より建物と庭園が一般公開されました。
約600坪の敷地に建つ建物はスパニッシュスタイルを基調としており、瓦の屋根や煙突、クリーム色のスタッコ仕上げの外壁といった多彩な装飾が施されている華麗な外観にも注目です。
1階の「リビングルーム」の広さは48畳、天井の高さは約4メートルあり、広々とした開放的な空間が広がっています。隣接する「パームルーム」にはスパニッシュスタイルの獅子型の壁泉があり、北側に面しながらも三方向にあるアーチ状の窓から明るい日差しが差し込んできて、まるで庭園にいるかのような感覚を味わうことができます。
エメラルドグリーンの壁やクワットレフォイルの窓がキュートな「令息寝室」は、建造当時べリック氏の子息はすでに青年でしたが小さな男の子の部屋として造られたのだそう。現在ではウェディングの控え室として使われることも。
「客用寝室」はブルーの内壁を創建当時の色に復元。和風住宅では見られないような大胆な色使いが特徴です。現在は、応接室として設えています。
「主人寝室」は、商館の経営者として横浜とロンドンを行き来していたべリック氏の活躍ぶりが感じられるように、書斎にリノベーション。隣の「夫人寝室」は、ウォークインクローゼットや靴収納戸棚、東側にはサンポーチがあり、当時の富裕な婦人の暮らしぶりをうかがうことができます。
「ベーリック・ホール」を見学した後は、約10分ほど歩いた先にあるカフェ「WHITE.cafe(ホワイトカフェ)」でティータイム。コーヒー焙煎士のオーナー夫婦が営むこちらは2020年にオープンして今年で2周年を迎えました。
カフェの隣には姉妹店の「WHITE. coffee roastery」が併設しており、コーヒーやケーキをテイクアウトすることができます。
店内に入ると白を基調としたシンプルでやわらかい雰囲気の空間が広がっています。オーダーメイドのテーブルや椅子、家具からは木の温かみが感じられ、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
店名の「WHITE.」は、子供服や雑貨のブランドから名前を存続したもの。生まれた瞬間は純白で、成長するとともに色々なカラーに染まっていく過程をホワイトで表現したのだそう。
カフェでは手作りのケーキやクリームソーダが人気です。定番の「ストロベリーレアチーズケーキ」は、濃厚なクリームチーズにフルーティーなストロベリーを使用しており見た目もキュート。「WHITE.ティラミス」のスポンジには、「WHITE. coffee roastery」で焙煎したオリジナルブレンドを使用しており、本格的なコーヒーの味わいが楽しめます。
そのほか季節限定があり、人気のケーキは早めに売り切れることも。ぜひカラフルなクリームソーダや淹れたてのコーヒーと一緒に合わせてみて。
今年9月1日にリニューアルオープンした「横浜マリンタワー」は、横浜開港100周年の記念事業として1961年建設された横浜のシンボル。飲食店舗やブライダルスペースも新たにオープンしました。塔のライティングデザインも一新し、日没に合わせた光の演出によるライトアップも見どころです。
展望フロア30階に上がると、みなとみらいや横浜港の夜景を360度見渡すことができます。これは港が近いマリンタワーだから見ることができる特別な風景。現在は12月末までメディアアートギャラリーでの企画展「Codistance(コディスタンス)」が開催されています。横浜の風景と重ね合わせた映像の新しい表現をぜひ体験してみてください。
デジタルアートを体験した後は、「横浜マリンタワー」の4階にあるイタリアンレストラン「THE TERRACE yokohama marine tower」でディナーはいかが。こちらではイタリアの伝統料理をオマージュしたレトロスタイルのイタリアン料理を楽しむことができます。
天井が高く開放的な店内は、テーブル席やテラス席のほか、完全個室、カップルシートなどがあり、特別な日に利用するのに最適。夕焼けから夜景に代わる時間帯はまた格別です。
コースを中心にアラカルトなどで使用する食材は、神奈川県ならではの三浦野菜をはじめ、相模湾の海鮮などを贅沢に使用。ディナーコースは「ベーシック」、「スペシャル」、「プレミアム」の3コースがあり、「ベーシック」はアミューズから前菜、パスタ、メイン、ドルチェまでそろいます。
メインは肉料理または魚料理から選択することができるのでその日の気分で選んでみて。タワーからの横浜の風景を眺めながら素敵なひとときを過ごしてください。
いかがでしたか。冬は空気が澄んでいるのでいつもとは異なる美しい風景を撮るチャンス。横浜ならではのおいしいパン屋さんやおしゃれなカフェを巡って、この時期にしか体験することができない元町・山手エリアの魅力を満喫してくださいね。