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「雨水利用推進法」 詳細解説

読み:
うすいりようすいしんほう
英名:
Act on the Advancement of Utilization Rainwater

水は、あらゆる生命が生きていくのになくてはならない貴重な資源で、人間社会にとっても生活や産業の基礎となるものだ。地球上にある水の量は約14億立方kmといわれており、淡水はその約2.53%にすぎない。しかも、その大部分が氷河や流氷のかたちで存在しているため、私たちが利用できる水の量は限られている。国土交通省の2013年版「日本の水資源」によると、日本で利用可能な水の量は、1981年から2010年まで30年間の平均値で4100億立方mほどだ。それにもかかわらず、都市化や工業化などの影響により水環境は悪化し、水循環の健全性が失われつつある。

限りある水資源の有効利用を図る手段のひとつとして注目されているのが、雨水を貯留して再利用する雨水利用だ。なかでも、水洗トイレなどの用水に使う取り組みが各地で行われている。その一方で、気候変動の影響もあり、1日の降雨量が100mm以上となる大雨の日数が増加し、いわゆるゲリラ豪雨も多発している。都市部では雨水が下水道や河川などからあふれ、都市型水害を引き起こす事例が多くみられる。しかし、このような雨水を貯留させることができれば、水資源として利用することが可能となる。

この「雨水は流せば洪水、受けてためれば資源」という考え方に立った「雨水の利用の推進に関する法律」(雨水利用推進法)が、2014年3月の通常国会で成立し、同年5月1日に施行された。雨水の利用の推進に関する国などの責務を明らかにするとともに、基本方針の策定をはじめとする規定が整備された。同時に成立した「水循環基本法」と同じく議員立法として前年の国会に提出され、いったんは廃案となったが再提出された経緯がある。

国は、雨水の利用を推進するための施策を策定し、実施する。地方自治体は、地域の自然的・社会的条件に応じて、雨水の利用の推進に関する施策を策定し、実施するよう努める。事業者や国民も自ら雨水を利用するとともに、国や自治体が実施する施策に協力するよう努める。国土交通大臣は、雨水の利用の推進に関する基本方針を定めなければならない。また、都道府県は、基本方針に即して雨水の利用の推進に関する方針を定めることができる。市町村も、基本方針及び都道府県方針に即して、雨水の利用の推進に関する計画を定めることができる。

雨水利用施設の設置を推進するための規定として、国は、国や独立行政法人などが建築物を整備する場合に、雨水を自ら利用するための施設の設置に関する目標を定める。地方自治体及び地方独立行政法人も、国の目標に準じて、建築物を整備する場合に同様の目標を定めるよう努める。また、政府は、とくに雨水の利用を推進すべき建築物における施設の設置を後押しするため、税制上または金融上の措置を講じなければならない。地方自治体も、雨水を一時的に貯留する施設の新設や、不要になった浄化槽の転用などに対する助成を行うよう努める。

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