サイト内
ウェブ

「見える化」 詳細解説

読み:
みえるか
英名:
Visualization

日本が世界に約束した、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを2020年に1990年比で25%削減するという目標を達成するためには、産業部門はもちろん、市民が日常生活の中でCO2の排出を抑制する取り組みを行う必要がある。しかし、目に見えないCO2をどのように、どれだけ削減するかについては、市民だけでなく事業者からも、「わかりにくい」「実感しにくい」といった問題が指摘されている。「見える化」は、商品やサービスの製造や利用に伴って排出されるCO2などの温室効果ガス排出量を定量的に可視化することで、排出量を削減するのに用いられる手法だ。

2008年に改正された地球温暖化対策推進法には、見える化促進の努力義務規定が盛り込まれた。日用品などの製造事業者に、温室効果ガスを排出する製品やサービスに関する排出量などの情報の収集と提供を行うことを求める。また、政府が同年公表したビジョンの「『低炭素社会・日本』をめざして」にも、カーボンフットプリントをはじめとする見える化を推進していくことが盛り込まれた。この方針を受けて環境省は、見える化を推進することによって国民や事業者による行動を促していくために、「温室効果ガス『見える化』推進戦略会議」を設置した。

同会議では、見える化を戦略的に拡大していくために、1) 商品の見える化、2) サービスの見える化に分類。その上で、商品の見える化については、商品のライフサイクル全般にわたり排出される温室効果ガスの排出量を計算して、消費者が温室効果ガスを多く排出しない商品の選択できるようにするとしている。一方、電気や水道、ガスなどサービスの見える化については、温室効果ガスの排出に関する利用者の意識向上や、排出が少ないサービスの選択を後押しする考えだ。同会議は、温室効果ガス排出量の計算や表示方法に関する検討も行っている。

一方、経済産業省はカーボンフットプリントの制度化など、CO2排出量の「見える化」によって企業の環境への取り組みを評価するため、CO2排出量の算定・表示方法の基本ルールとなる指針を策定した。同指針に基づき2009年度に実施された試行事業には、約300社が参加している。2010年度も引き続き試行事業を行う予定だ。カーボンフットプリントを制度化しようという動きはイギリスなど欧米諸国でも見られる。ISO(国際標準化機構)は、2011年11月にも国際規格を発行する見込みだ。

また、農林水産省は2009年4月、「農林水産分野における省CO2効果の表示の指針」をまとめた。同指針は、農林水産業関係者の温室効果ガス排出削減努力や、その努力によって生産された国産農林水産物などの成果を、消費者にわかりやすく示す表示のあり方などをまとめたものだ。表示に関する基本的考え方に加えて、1) 温室効果の排出削減効果、2) 排出量、3) 炭素貯蔵量、4) 化石資源代替効果―などの選択肢を示している。さらに、林野庁は、国産材を中心とした木材の利用によってもたらされる環境貢献度を目に見えるようにするための検討会を設置し、指針の策定作業を進めている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。