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「エコロジカル・フットプリント」 詳細解説

読み:
えころじかる・ふっとぷりんと
英名:
Ecological Footprint

エコロジカル・フットプリント(EF:Ecological Footprint)は、人間活動により消費される資源量を分析・評価して、人間の生活や事業などがどれだけ自然環境に依存しているかについて、主に自然資源の消費量を土地面積で表すことにより、わかりやすく伝える指標だ。言葉の意味は、自然生態(エコロジカル)を踏みつけた足跡(フットプリント)であり、ブリティッシュ・コロンビア大学で開発された。環境省の発表資料によると、「人ひとりが持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積(水産資源の利用を含めて計算する場合は陸水面積となる)」として表わされる。

国際環境NGOのWWF(世界自然保護基金)が公表している「生きている地球レポート2006」によると、世界のエコロジカル・フットプリント(需要)は、地球の生物生産力(供給)を約25%超過している。特に先進国のエコロジカル・フットプリントが生物生産力を超過しており、1人あたりのエコロジカル・フットプリントを世界平均の生物生産力と比べると、日本が2.5倍、EU加盟国が2.7倍、アメリカが5.4倍となっている(2003年時点)。これは、世界中の人が日本、EU、アメリカ国民と同様の生活をすると、地球がそれぞれ2.5個、2.7個、5.4個必要になることを示し、地球の生物学的資源が欠乏の危機にあることがわかる。このようにエコロジカル・フットプリントは国際比較が可能であり、地球上の限りある土地面積に着目して持続可能な水準の超過を訴える手法は直感的に理解しやすいため、環境指標として高く評価されている。

2007年度版の環境・循環型社会白書によると、国際的な推進主体であるグローバル・フットプリント・ネットワークが、世界のエコロジカル・フットプリントを計算している。その算定には、1) 農作物の生産に必要な耕作地、2) 畜産物などの生産に必要な牧草地、3) 水産物を生み出す水域、4) 木材の生産に必要な森林、5) 二酸化炭素(CO2)を吸収するのに必要な森林、などが含まれる。また、わが国の第3次環境基本計画「環境から拓く 新たなゆたかさへの道」(2006年4月閣議決定)では、地球温暖化問題など10の重点分野ごとに設定した指標や「総合的環境指標」を活用して、同計画の進捗状況を中央環境審議会で毎年点検するとしており、エコロジカル・フットプリントを、環境容量の占有量を示す指標として、3つの指標の1つに設定。そのあり方について委員会を設けて検討している。さらに、民間の取り組みとしては、エコロジカル・フットプリントの活用や普及を呼びかけるNPO法人のエコロジカル・フットプリント・ジャパンが立ち上がった。

一方、エコロジカル・フットプリントのかなりの部分は、化石燃料の使用によるCO2の排出が占めているとされる。エコロジカル・フットプリントが土地面積などに着目しているのに対して、人間活動が炭素循環や地球温暖化に与える影響を把握するのに用いる指標がカーボン・フットプリント(CF:Carbon Footprint)だ。世界中の科学者が協力して炭素循環に関する研究を行う国際計画のグローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)では、「都市と地域の炭素管理(URCM)」という活動の中で、都市活動によるカーボン・フットプリントに関する研究を行っており、国際会議を開催している。また、国際標準化機構(ISO)がカーボン・フットプリントの規格化を検討しているという情報もある。

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