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「ゴミ問題」 詳細解説

読み:
ごみもんだい
英名:
Waste Issues

日本は1960年代から高度経済成長を遂げ、大量生産、大量消費社会時代を迎えた。この時期から企業などの工場や家庭から出るゴミの量が急激に増加し、ゴミ問題が深刻になった。ゴミの量が増えた原因にはさまざまなものがあるが、耐久消費財の買い換えや使い捨て型の商品・容器の普及など、ライフスタイルの変化によるところが大きい。ゴミ(廃棄物)には大きく分けて、工場や建設現場、農業施設などから出る「産業廃棄物(産廃)」と、それ以外の「一般廃棄物(一廃)」とがある。一廃は、家庭から出る「生活系ゴミ」とオフィスや飲食店などから出る「事業系ゴミ」、「し尿・生活雑排水」などだ。

このうち、一廃の2009年度の排出量は4625万tで、国民1人1日当たり994gのゴミを出している計算になる。一廃は1990年度以降ほぼ年間5000万tで推移してきたが、やや減少傾向にある。それでも、大量に生み出されるゴミを処理する処分場が不足しており、事態は深刻だ。特に、焼却されずに埋め立てされる一廃の最終処分場の残余年数は、2010年3月末時点で18.7年分しかない。このため、地方自治体ではゴミの分別収集によってリサイクルを促進し、埋め立てるゴミの量を減らすなどの努力を行っている。たとえば、1999年に「ゴミ非常事態宣言」を出した名古屋市では、ゴミの分別を強化、リサイクルを進めるなどの取り組みの結果、かつては増加し続けていたゴミ処理量が2007年には約7割にまで減少し、資源回収量は約2.8倍に増加した。

一方、産廃については、2008年度の総排出量が前年度より1600万t減って約4億366万tであった。そのうち汚泥の排出量が最も多く、約1億7611万tで全体の43.6%を占め、次いで、動物のふん尿が約8770万t(21.7%)、がれき類が約6119万t(15.2%)であり、これら3種類で全排出量の約8割を占める。また、最終処分量の残余年数は2009年4月1日現在で10.6年分しかなく、各地で不法投棄などの不適正処理が相次ぎ、さらなる環境汚染の原因にもなっている。産廃の排出量を減らすため、企業では、リサイクル設計の導入など、廃棄物の発生量自体を抑制するための取り組みを進めている。

いかにゴミの排出を抑えるかは、資源の有効利用の上からも、最終処分場確保の意味でも重要な課題であるため、政府は2000年に制定した「循環型社会形成推進基本法」の中で、廃棄物の発生抑制(リデュース=Reduce)、使用済み製品などの適正な再利用(リユース=Reuse)、そして最終的なリサイクル(Recycle)の3Rを重要施策に盛り込み、その中でも「リデュース」を優先課題とした。また、リサイクルを推進するために、「容器包装リサイクル法」「家電リサイクル法」「建設リサイクル法」「食品リサイクル法」などを次々と制定して、ゴミ問題の解決に向けて動き出している。しかし、ゴミの排出そのものを抑制(リデュース)することはできておらず、依然として課題は多い。

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