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「REDD+」 詳細解説

英名:
REDD (Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation)-plus

現在、途上国をはじめとする世界各地で森林破壊が進んでいる。世界全体で見た場合、森林の減少や劣化による二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量は、総排出量の約2割を占める。途上国における森林の減少や劣化によるCO2の排出を削減するとともに、森林の保全を図る活動が「REDD+」(レッドプラス)だ。途上国が森林の減少や劣化を抑制する取り組みによりCO2の排出を削減した場合に、資金やクレジットなどの経済的なインセンティブを与えようという考え方を基本とする。REDD+は先進各国から対費用効果の高い削減手法として期待されている一方、途上国からも先進国から資金援助を得る手段として注目されており、先進国と途上国の双方にメリットのある気候変動の緩和策として認識されている。

REDD+の前身である「REDD」は森林の減少や劣化による排出削減の部分を指し、2005年にカナダで開催された気候変動枠組条約第11回締結国会議(COP11)で提唱された。その後、インドネシアのCOP13で採択された「バリ行動計画」で、森林経営などによる保全活動を通じた森林の吸収機能強化の部分をプラスしたREDD+として、ポスト京都における検討項目となった。そして、2009年にデンマークで開かれたCOP15で採択された「コペンハーゲン合意」に、REDD+に関する制度の創設が盛り込まれた。

これを受けて2010年末にメキシコで開催されたCOP16では、REDD+を実施に移していくための政策などに関する話し合いが行われ、COPとしての決定の中に途上国における森林の減少や劣化への対策と、先進国による支援の枠組みが盛り込まれた。現在、COP16での決定をもとにREDD+の運用ルールが検討されている。また、これに先立ち同年5月に行われた「気候変動と森林に関するオスロ会議」では「REDD+パートナーシップ」の設立が合意されるなど、実現に向けた動きが加速している。

REDD+には、森林の減少や劣化の抑制を通じて生態系を保全する役割もある。2010年10月には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)にあわせて、「森林保全と気候変動に関する閣僚級会合」(REDD+閣僚級会合)が開催された。REDD+をいかに実施していくかについては、これから話し合いが進められる予定だ。途上国による取り組みの促進と能力開発や、森林クレジット(REDD+クレジット)に関するスキームの整備、先進国による資金面での支援策、政策面での推進手法など、解決すべき課題は多い。

2010年7月にはわが国のREDD+に関する総合的な技術拠点として、(独法)森林総合研究所内に「REDD研究開発センター」が開設された。日本が主導してREDD+に関する方法論を開発することや、ガイドラインの提案などを通じて取り組みを着実に進めていく実施体制の確立などを主な目的としている。すでにカンボジアとマレーシアを事業対象地域として設定し、必要な技術開発や制度設計などに関する検討を行っている。

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