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「生物多様性ホットスポット」 詳細解説

読み:
せいぶつたようせいほっとすぽっと
英名:
Biodiversity Hotspots

生物多様性を保全する上で重要な地域を、生物多様性ホットスポット(以下「ホットスポット」という)と呼ぶ。生物多様性が豊かであるにもかかわらず、たくさんの絶滅危惧種が生息し、危機にひんしているという理由から選定された地域のことだ。1988年に英国の環境学者であるノーマン・マイヤーズ博士が提唱した。

マイヤーズ博士とともにホットスポットの特定を行っている、国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナル(CI)が公表している世界のホットスポットは、2012年5月の時点で35カ所に上り、その中には日本列島も含まれている。ホットスポットは、アフリカ、アジア太平洋、ヨーロッパ・中央アジア、北・中央アメリカ、南アメリカなど世界中に存在する。CIによると、ホットスポットは地球の地表面積の2.3%足らずであるにもかかわらず、絶滅が危惧されている哺乳類や鳥類、両生類の75%が生息し、すべての植物の半分と陸上脊椎動物の約4割がホットスポットにだけ生息しているという。

日本の動きをみると、政府は2010年3月、生物多様性基本法に基づき「生物多様性国家戦略2010」を閣議決定した。生物多様性の保全と持続可能な利用に関する国の施策目標や取り組みの方向性をまとめたものだ。従来の第3次戦略から構成や計画期間を継承し、同年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10 回締約国会議(COP10)に向けた取り組みを視野にいれて内容の充実を図った。日本における生物多様性の損失を危機的状況とし、総合的に評価する方針を示した。

同計画はホットスポットについて、優先的に保護地域の指定などの検討を進め、自然再生や里地里山保全・再生、希少種の保護増殖、特定鳥獣の保護管理、外来種の防除などの事業を行うことで、ホットスポットの保全と回復に努めるとしている。また、同年5月に公表した「生物多様性総合評価報告書」で、日本における生物多様性の損失の状態を、森林、農地、都市、陸水、沿岸・海洋、島のそれぞれについて評価した上で対策を示している。その上で、ホットスポットの考え方を紹介している。

2010年10月に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)には、179の締約国と国際機関、NGO/NPOなどが参加し、生物多様性の損失を止めるための新目標「愛知ターゲット」と、遺伝資源の採取・利用と利益配分(ABS)に関する国際的な枠組みの「名古屋議定書」が採択された。愛知ターゲットは、生物多様性の損失を防ぐため、2020年までに具体的な行動を起こすことを目指しており、2050年までの中長期目標も示した。保護地域に関する目標は、陸域が17%、海域が10%だ。

一方、生物多様性に関する国際協力として、クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)がある。途上国でのホットスポット保全活動に取り組む民間団体を支援する枠組みで、2000年にCI、世界銀行、地球環境ファシリティ(GEF)によって設立された。参加団体は毎年決まった額を拠出し、その資金は世界各地のホットスポットの保全に役立てられている。設立時から2009 年3月までに、18 のホットスポットにおける約1000 件の取り組みに対して支援を行った。

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