
仕事のできる女と、怒りのバターチキン / 画像提供:福々ちえ(@fukufuku_comic)
デザインの勉強をしていない新人のデザイン案もコンペに出そうという上司。選ばれるわけがないと思っていたのに。バリキャリ女子が仕事でうまくいかないもやもやを描く、福々ちえ(@fukufuku_comic)さんの『モヤモヤ社畜OLと、勇気のマサラカリー』の続編「仕事のできる女と、怒りのバターチキン」をお届けしよう。
■人間讃歌がテーマで悪者はいない。悲しい人や弱い人がいるだけ
仕事のできる女と、怒りのバターチキン1 / 画像提供:福々ちえ(@fukufuku_comic)
仕事のできる女と、怒りのバターチキン2 / 画像提供:福々ちえ(@fukufuku_comic)
仕事のできる女と、怒りのバターチキン4 / 画像提供:福々ちえ(@fukufuku_comic)
漫画家兼イラストレーターとして活動する福々さんは、夫婦を題材にしたエッセイや、過保護な母親をテーマにしたセミドキュメント作品を手がけている。そんな福々さんの描いた本作「仕事のできる女と、怒りのバターチキン」は、カレー屋を通してつながる物語で、実は「昼間の駅で揉めている人を目撃した」という福々さん自身の体験が元になっているそう。
サラリーマンが、もうひとりの襟首を掴みながら怒鳴り合っている場面に遭遇し、福々さんは「何事!?」と思うと同時に、「私これ見なかったことにして通り過ぎていいのかな」と自問自答したそう。そんな自分の「正しさ」を試されるような瞬間に心を揺さぶられた経験が、描くきっかけになったという。
福々さんは「私の漫画は、人間讃歌がテーマです。悪者はいません。悲しい人や弱い人がいるだけです」と作品に込めた思いを語る。その背景には、福々さん自身が両親との間に抱えていた葛藤があるという。「『親にも事情があったんだ』と気づいたら、怒りが溶けて消えた体験があって。この経験を読者さんにも疑似体験してもらえるような、そんな漫画を描いていきたいです」と話してくれた。
最後に福々さんは「それぞれ葛藤やドラマがあると想像できれば、世界がやさしくなるかも…なんて考えたりします」と思いを明かした。たまたま隣に座った人も、同じ空間にいた人も、すれ違っただけの人も…誰もが自分だけの物語を持っている。現実の世界を少しでも優しく受けとめたいと願う人に、本作はきっと響くだろう。
取材協力:福々ちえ(@fukufuku_comic)