
視点の違いが恐ろしい…という話 / 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
理系大学・大学院の実情を描く理系女ちゃん(@rikejo_chan)の「先輩は綺麗な人だった」は、男性と女性2つの視点を描くことで「好意を寄せる側」と「寄せられる側」の認識の違いを描く。前半は先輩に恋する後輩の淡い恋心だが、後半で先輩の視点に変わるとその恋心は「恐怖」に変換されていく。一方的に好意を寄せられた先輩視点のラスト、あきらめられない呟きが波紋を呼び、Xで万バズの反響を集めた話題作を「ゴールデンウィークに読みたい傑作」として紹介する。
■恋は盲目と言うけれど、見える世界はここまで違う!?
先輩は綺麗な人だった(1) / 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
先輩は綺麗な人だった(2) / 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
先輩は綺麗な人だった(3) / 画像提供:理系女ちゃん(@rikejo_chan)
本作「先輩は綺麗な人だった」の物語は、好きな先輩に告白するもフラれてしまった後輩、理系男子視点の淡い恋心から始まる。 しかし、告白された側の先輩視点へと変わった途端、単なる恋心ではない後輩の執着心に恐怖する様子や、ラストには「あきらめきれない」という後輩の呟きを見て背筋を凍らせる先輩の姿が描かれ、物語は結末を迎えてしまう…。相手をどういう位置づけで見ているか、「好意」を送る側と送られる側の温度差を描いた本作には、読者から多くの反響が届いている。
理系学生の大学院、アカデミアに残る人の少なさに対して「理系に対する解像度が少しでも多くの人の間で高くなれば、もっと理系に興味を持ってくれる人が増えたり、現在アカデミアが抱える課題を解決できたりするのではないかと漫画の投稿を始めました」と「理系」な話を描こうと思った理由を教えてくれた理系女ちゃん。
恋をしていることで世界が美化されている男性と、好意を寄せられる女性の視点が変わったときに見えていた世界が違うのが今作の特徴だが、理系女ちゃんは「あくまでも男女それぞれの視点を描くことにこだわりました。人と人の関係は、誰かの視点が介入する以上主観を欠くことは難しいので、本作品はナレーションを入れていません」と本作に込められたこだわりを語る。また、最後の「彼は謝った」のシーンは「読者の想像に任せたい」とのこと。
まだ見ていない人はぜひこの温度差を感じてほしい。
取材協力:理系女ちゃん(@rikejo_chan)