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「自然破壊」 詳細解説

読み:
しぜんはかい
英名:
Destroy Nature

人類は、文明を築く過程で多くの資源を自然から得て発展してきた。とくに産業革命以降は文明が進展する速度が増し、それまでの時代とは比較にならないほど大量の資源を自然から収奪するようになった。また、1950年以降は人口が加速度的に増加し、21世紀には世界の人口が70億人を突破した。増え続ける人口を支えるために、地下資源や鉱山の開発、森林伐採や焼き畑を伴う農地開発、巨大なダム建設などの自然破壊が、世界各地で深刻な問題となっている。

森林を例にとると、世界には面積にして約40.3億haの森林があり、全陸地面積の3割強に及ぶ。しかし、2000年から2010年にかけて、年平均で約1300万haの森林が消失した。また、絶滅の危機にひんする野生生物も増えており、国連によると、過去100年間における動植物の絶滅のスピードは、それまでの歴史と比べてはるかに速くなっている。地球温暖化や、それと関係が深い異常気象も自然破壊と深く関係している。また、自然破壊によって気象の変化がもたらされることも指摘されており、自然保護の重要性が増している。

自然破壊に歯止めをかけるため、国連は「持続可能な開発」を国際社会が取り組むべきテーマのひとつとして掲げている。1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミットでは、持続可能な開発のための人類の行動計画(アジェンダ21)が採択された。日本では第二次世界大戦後に、道路やダム、発電所などの建設や、宅地造成、港湾開発、農地拡張目的の干潟埋め立てなどによって、多くの自然が失われた。また、急速な工業化により、1960年代から70年代にかけて公害問題が深刻化した。

20世紀後半から21世紀にかけても、諫早湾の干拓や、吉野川可動堰・長良川河口堰の建設など、開発と自然保護をめぐる問題は後を絶たない。経済や効率性を優先して自然が破壊されてきたことへの反省から、自然を守るための制度が整備されている。古くは1957年に自然公園法が、1972年に自然環境保全法が制定された。また、大規模な開発を行う際に環境への影響を調査する環境アセスメントの導入が進み、1997年に環境影響評価法が制定された。2011年の同法改正では、計画策定段階で環境配慮を確保するための戦略的環境アセスメント(SEA)が導入された。2008年には生物多様性基本法が施行された。

破壊された自然を積極的に回復しようという動きもある。2003年に、過去に損なわれた生態系などの自然環境を取り戻すことを目的とした自然再生推進法が施行され、北海道の釧路湿原、静岡県の巴川流域、熊本県の阿蘇地域など全国で30以上の自然再生事業が進められている。一方、ナショナル・トラスト運動をはじめとして、市民が自らの手で里山や水辺を守る事例も増え、森林保全や自然保護に取り組むNGO/NPOが全国で活動を展開している。

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