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「植物工場」 詳細解説

読み:
しょくぶつこうじょう
英名:
Plant Factory

野菜などの植物が育つには、光や温度、湿度、水分、養分、二酸化炭素(CO2)濃度などの条件が重要になってくる。従来の農業では、農業者の努力によってこれらの要素がバランスよく整えられてきた。しかし、多くの農家が台風や暴風・豪雨や、病害虫による被害に悩まされている。高齢化による労働力不足も深刻な問題だ。こうした中、植物の生育環境を施設の中で制御することで最適化し、種まきから栽培、収穫、出荷までのプロセスを計画的に行う「植物工場」が注目されている。

植物工場は、主に屋外で行われてきたこれまでの農業と比べて、天候の変化などに左右されないため作物を周期的に安定供給することが可能だ。出荷のサイクルを短くするとともに、収穫量を増やすことができる。また、病害虫の被害を受けないため、農薬を使用する必要がない。汚れが少なく洗わずに食べられる。高齢者や障害者でも働きやすいことから、雇用確保にもつながる。これらのさまざまな利点に着目して、多くの企業がこの分野に参入している。

植物工場には大きく分けて「完全人工光型」と「太陽光利用型」の2種類がある。前者は、施設などの閉鎖された環境で太陽光を一切用いず人工照明により栽培するものだ。照明の光源としては、LEDや蛍光灯、ナトリウムランプなどが使われる。後者は、太陽光を利用しつつ、補助的に人工光源を使ったり、夏季の高温を抑える技術を導入したりして栽培するもの。農林水産省によると、稼働している植物工場は2014年3月の時点で約200カ所あり、その8割以上が完全人工光型だ。

施設をのぞいてみると、倉庫のような広い空間に、野菜などの植物を育てる多段式の棚が何列も置かれており、「工場」の名にふさわしい光景となっている。多くの施設が、もとは工場や倉庫だった施設を改修したものだ。栽培できる植物としては、野菜ではレタスやクレソン、バジルなどの葉物から、トマト、ナス、キュウリなどさまざまな種類がある。また、花を育てている施設もある。作業者は専用の作業着に身を包み、マスクや手袋をして防菌・防虫を徹底している。

植物工場は、政府による経済成長戦略などの項目にも取り上げられている。普及拡大を図るため、経済産業省や農林水産省が補助制度を設けている。都道府県や市町などの地方自治体の中には、植物工場を企業立地や誘致に関する助成金の交付対象にしているところもある。

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