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「里地里山」 詳細解説

読み:
さとちさとやま
英名:
Satochi and Satoyama

環境省の解説によると、里地里山とは、「原生的な自然と都市との中間に位置し、さまざまな人間の働きかけを通じて環境が形成されてきた地域」で、「集落をとりまく二次林と、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成される地域」だ。古くは、青森県にある三内丸山遺跡の縄文遺跡周辺では、クリが食用として栽培されていたと考えられている。4000年以上も前に、人の手が加わった森林が人家の周辺にすでにあったことがわかっている。

このように、森や自然は、縄文の昔から集落近くのその周辺の人々の暮らしになくてはならないものだった。集落に住む人の手によって維持管理された森や自然は、食用としての木の実や山菜、燃料としての薪(薪炭用木材)、肥料としての落ち葉など、豊かな恵みをもたらした。里地里山の森林は、その土地に以前から生えていた自然の木が、災害で倒れたり人の手で切られたりした後に再び生えてきた「二次林」だ。コナラ、ミズナラなどの落葉広葉樹のほか、柿や竹など多様な植生で構成される。

また、人間の手によって田んぼや畑、用水池などがつくられ、これらの環境に昆虫や野鳥、小動物などが集まって独自の生態系が形成されている。日本では、二次林の面積が約800万ha、同じく農地等が約700万haあり、合わせて国土の4割程度を占める。しかし、第二次世界大戦後、とくに1960年代以降になると、石油、ガス、電気などが家庭用燃料の中心になった。また、田畑で化学肥料が使われるようになり、燃料や肥料供給源としての里地里山の役割が減少し、荒れ果てたまま放置され、住宅地や工場用地、ゴルフ場などに変わっていった。

1990年代に入り、環境問題への関心が高まるにつれて、豊かな生態系をかたちづくってきた里地里山が再び注目されるようになった。環境省が2001年に公表した調査結果によると、絶滅危惧種は原生的な自然地域よりもむしろ里地里山地域に生息している。2012年に見直された「生物多様性国家戦略2012-2020」は、里地里山を保全するために、その効率的な保全活用を進めることや、生物多様性をより重視した持続可能な農林業の活性化、緩衝帯の整備、エコツアーバイオマス資源の利用などを提言している。

里地里山を保全するには、人間による継続した自然へのはたらきかけが必要となる。環境省はかつて、里地里山保全再生モデル事業を実施していた。また、全国各地で市民や地方自治体が「里山を守る会」などを設立して、保全活動を展開している。さらに、里地里山の再生を通じて、動植物とのふれあいや自然の学習など、子どもたちの環境教育の場として活用するケースも増えている。このように、里地里山の役割はかつての地域住民と自然との関係にとどまらない広がりを見せている。

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