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「ドイツの環境政策」 詳細解説

読み:
どいつのかんきょうせいさく
英名:
German Environmental Policy

環境先進国といわれるドイツだが、昔から環境意識が今ほど高かったわけではない。1960年代後半から1970年代にかけてルール工業地帯で発生した大気汚染が契機となり、当時のブラント政権が「ルールに青空を」運動を推進。環境保護運動が国内に広がった。その後、1972年にストックホルムで開催された国連環境会議をきっかけに、ドイツ国民の環境に対する意識はいっそう強くなり、国全体の政策が環境保護の方向へと向かうことになった。これを代表する動きが「緑の党」の躍進である。同党は、原発反対と自然保護を党是として州議会で躍進し、1983年には連邦議会に27議席を獲得。1998年の総選挙では野党の90年同盟と統一会派を構成し、47議席を獲得した。

法制度の面では、1970年以降、大気汚染や気候変動の防止など環境保護分野の9項目において環境保護の法体系の整備・強化が進み、1970年代初頭には、動植物の生態を守ることを決めた「環境保護計画」と、連邦政府が各州に対して、小学校からの環境教育実施を求めた「環境教育計画」の2つが定められている。とくに環境保護計画では、危険予防の原則、汚染原因者責任の原則、協力の原則などが定められ、その後の環境関連法令の基礎となっている。1994年には、「次世代のために自然を守る責任がある」ことが、日本の憲法に相当する「ドイツ基本法」に加えられ、その後のドイツ環境保護政策の方向性を示すものとなった。

また、廃棄物・リサイクルの分野では、1994年に「循環経済廃棄物法」が制定された。同法は、廃棄物の定義について主観的な「捨てる意思」を基準とするのではなく、「客観的に捨てなければならない基準」から定義づけるとともに、拡大生産者責任を導入するなど踏み込んだ内容で、同国における廃棄物管理の根幹を担う法律となった。

エネルギー問題については、2002年に原子力エネルギー利用を廃止することを決めた改正原子力法が長い議論を経て制定、施行された。また、2000年に制定された再生可能エネルギー法では、電気供給量における再生可能エネルギーの割合を2010年までに2倍以上に引き上げることが目的として掲げられた。同法は2004年に改正され、再生可能エネルギーの総発電量に占める割合の数値目標が2010年までに最低12.5%、2020年までに最低20%と定められた。

このように、同国では政治と法制度の分野で環境への取り組みが進められているが、2005年秋の総選挙の結果、環境政策を積極的に進めてきた緑の党が政権の座から降りることになった。これにより、ドイツの環境政策がどのように変わっていくのか、注目する必要がある。

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