サイト内
ウェブ

「祭り」 詳細解説

読み:
まつり
英名:
Festival

祭りとはもともと、神や仏を「祭る」ことで祈願したり、感謝の念を表したりする儀式だったといわれている。古代から世界中でさまざまな祭りが行われ、日本では、たとえば大きな木に神が宿ると考えられていた。巨木がその地域の人々によって祭られてきたのはそのためで、樹齢数百年もの古木に注連縄(しめなわ)が張られているのはこうした伝統を受け継ぐ行為であるといえる。やがて、神々を祭るための社(やしろ)として「神社」が建てられるようになると、神社を中心にした地域共同体が、祭事としての「祭り」をとり行うようになった。

弥生時代前後、わが国に稲作が伝わってからは、農耕儀礼も稲作を中心としたものへと変貌し、豊作を田の神に感謝する秋祭りが10月頃に各地で行われるようになった。また、狩猟を生業として暮らしてきた山の民たちは、狩った獲物に対して感謝の気持ちを表す「熊祭り」を行った。さらに、海辺の町では、豊漁を海神に感謝する住吉神社や宗像神社などの祭りも盛んになった。このように、日本に古くから伝わる祭りは、巨木や稲、野生生物、山、海、川・湖沼など、自然と密接に関係している。

室町時代から江戸時代にかけて町などの都市が発達するにつれ、農産漁村での儀礼とは違う、都市の地域共同体が主催する祭りが増えた。たとえば、東京浅草の三社祭は観音様を祭った祭りで、「江戸っ子」の心意気を表現する、きわめて都市色の強い祭りだ。また、こうした祭りに欠かせないのが神輿(みこし)。神輿は神様の乗り物としてかつがれるもので、京都・北野天満宮の野菜でつくられたものや、熊野那智大社の扇を神体とするものなど、各地に独特の神輿がある。

時を経て、第2次世界大戦後に農村から都市に人口が流出するようになると、東京や大阪などの都市部で暮らす人にとって、お盆や村祭りの季節に村へ帰って自然に触れ合うことは、「ふるさと」を再確認する行為となった。日本の祭りはこのような経緯をたどり、変化しながらも、参加する人たちのコミュニケーションの場であり、エネルギーを発散する「ハレ」の場であることに変わりはない。また、近年は新興住宅地における住民の親睦の場や、自然保護などの環境問題を地域で共有する機会にもなっている。

一方、野外フェスティバルや学園祭の時に、ゴミを出さないことや分別などの3Rを呼びかける取り組みも各地で行われている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。