サイト内
ウェブ

「海洋深層水」 詳細解説

読み:
かいようしんそうすい
英名:
Deep Seawater

海洋深層水とは、大陸棚よりも沖合にある、光合成に必要な太陽光線が届かない、水深およそ200mより深いところを循環している海水のこと。北極グリーンランド沖で海水が冷やされ、塩分の濃度差によって垂直に沈み込む海流が生じ、深いところでは水深4000mにまで潜り込む。この海流は大西洋−南極海−インド洋を通り、北太平洋で上層の暖かい水と混ざり浮上するまで、約1500〜2000年間にわたって一度も大気と接することがない。

海洋深層水は温度が表層部より低く安定している。太陽光線が届かず光合成が行われないことから有機物が少なく、細菌や陸上や大気からの有害な人工汚染物も表層水に比べて非常に少ない。また、植物の成長に欠かせない硝酸塩、リン酸塩などの無機栄養塩類やカルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれている。

この「低温安定性」「清浄性」「豊富な無機栄養塩」という特質を、水産、農業、食品開発、健康・医療・美容などの分野で活用しようという研究が活発に行われている。たとえば、海洋深層水を利用して、マコンブ、カジメなどの小さな海藻を陸上で培養し、その海藻でカキ、アワビなどを飼育する実験が行われているが、清浄であることから、魚類の病原性がない受精卵が得られるというメリットが生まれている。また、医療分野では、アトピー性皮膚炎の治療に海洋深層水を用いる研究や、海洋深層水由来の微生物から抗がん剤を抽出するなどの研究も行われ、さまざまな領域での利用方法が探られている。

一方、海洋深層水を利用した商品やサービスの代表的な商品はミネラルウォーターで、室戸岬、三浦沖、駿河湾などの海洋深層水が用いられている。また、海洋深層水を使ったアイスクリーム、パン、海洋深層水を加えた飼料で育てた鶏の卵など多彩な商品が販売されている。

このように海洋深層水はブームとなっているが、これからはその品質をどう保証していくか、また、環境問題の解決にどう役立てていくかなどが課題となっている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。