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「深層水」 とは

読み:
しんそうすい

 太陽光線の届かない深い層の海水のことで、一般に光合成に必要な光がなくなる深さ、つまり大陸棚より沖合の水深200mより深い無光層のものをこう呼ぶ。ただし、これは資源利用の立場から生まれた言葉で、海洋学上の深層水とは異なるため、注意が必要だ。海洋学上では、一般に海洋深層水と呼ばれる水深200 mより深い層の海水でも、北太平洋中層水や北大西洋深層水など、固有の名称がある。深層水は、海面近くの表層水に比べて陸水や大気からの化学物資による汚染にさらされることが少なく、太陽光線が届かないために光合成が行われない。一方で、バクテリアの分解力によって無機栄養塩が蓄積され、栄養分が豊富な海水になる。また、年間を通じて低水温で変化が少ない低温安定性や、細菌や有機物が少ない清浄性など多くの特性を持つため、水産・農業分野をはじめ、食品、医薬品、美容などさまざまな分野での活用が研究されている。このような特徴を持つ海水が存在する深度は海域によって異なるため、採取する場所の海洋深層水について、起源や流れ、水質などについて調査し、利用目的によってその条件を満たす海水が入手できる水深を明らかにすることが必要だ。たとえば、水温が10度を下回る深度を比べると、太平洋側では、外洋で500から600m程度、沿岸域でも300から400m程度だが、日本海側では150m程度。また、海洋深層水の利用のための大量取水、放水がなされた場合の海洋環境に与える影響への注意が必要だ。深層水の生成海域は、北大西洋のグリーンランド近海と南極大陸周辺だけだが、地球温暖化の影響で深層水の生成に支障が生じるという予測もある。日本での海洋深層水研究の始まりは、1986〜1989年に実施された「海洋深層資源の有効利用技術の開発に関する研究」であり、高知県に陸上型の海洋深層水取水施設が、富山県に洋上型海洋深層水有効利用システムが整備された。

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