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「グリーン投資スキーム(GIS)」 詳細解説

読み:
ぐりーんとうしすきーむ
英名:
Green Investment Scheme(GIS)

二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを削減するために、京都議定書で導入された京都メカニズムのひとつである排出量取引は、先進国同士が削減目標達成のために排出割当量(AAU:クレジットの一種)を取り引きする仕組みだ。このうち、クレジットの移転に伴う資金を温室効果ガスの排出削減などの具体的な環境対策に使用するという条件下で行われる国際的な排出量取引が、グリーン投資スキーム(GIS)だ。当初はロシアが提案し、排出量取引を環境保全上意義の高い仕組みの下で行うべきという問題意識から注目された。

政府はGISを、効果的な環境資金援助につながる温暖化防止対策として位置づけている。京都議定書目標達成計画には、国内対策に努力しても京都議定書の約束達成に不足する差分について、GISなどの京都メカニズムを活用すると記載している。ただし、GISについてはCDM(クリーン開発メカニズム)やJI(共同実施)と違って、京都議定書で具体的な手続が定められていない。また、計画から実施、クレジットの発行開始までに5年近くかかる。このためGISの実施には、取引する国同士が覚書やガイドラインを作成して契約内容を明確化しておく必要がある。

日本は、経済産業省環境省から政府の京都メカニズムクレジット政府取得事業を受託したNEDO技術開発機構を通じて、2010年末までに4カ国との間でGISの実施に向けた割当量購入契約を締結している。まず2009年3月にウクライナと3000万t(AAU)、チェコ共和国と4000万t(同)の購入契約を、同年10月にラトビア共和国と150万トン(同)の購入契約を締結した。また、2010年12月には、国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)開催中のメキシコ・カンクンで、ポーランド共和国と400万t(同)の割当量購入契約を締結した。

これらの契約に基づき、NEDO技術開発機構は各国政府との間でGISを活用した割当量の移転と、再生可能エネルギーの普及拡大などさまざまな環境対策事業を実施する。ポーランドとの契約では、実施場所における環境や地域住民への影響に配慮するとともに、同国内の環境法令を遵守した上で行うことが求められている。また、2011年に同国のワルシャワで、日本の低炭素技術を紹介するワークショップが開催される予定だ。

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