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「PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)」 詳細解説

読み:
ぱーふるおろおくたんするほんさん
英名:
Perfluorooctanesulfonic Acid

PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)は、代表的な有機フッ素化合物であるパーフルオロ化合物の一種だ。化学的に非常な安定しており、水にも油にも溶けやすく、耐熱性や耐薬品性があるなど多くの優れた特性をもつ。このため、長く界面活性剤として多方面で利用されてきた。その用途は、はっ水剤や紙・布の防水剤、消化剤、床磨き用洗剤など幅広く、なかでもフライパンなどの調理器具の焦げ付き防止用コーティング剤として世界中の家庭に普及した。

しかし、その安定性ゆえに自然環境中で分解されにくい。また、鳥類をはじめとする野生生物の内臓に蓄積する性質があり、野生生物や環境中に広い範囲で存在していることが内外の研究により明らかになった。さらに、よく似た化学構造を持つフッ素系の界面活性剤であるPFOAについて、発ガン性などの毒性が一部で指摘された。

このため、米国環境保護局(EPA)は、2002年からPFOSの用途を制限。2006年に、2015年までにPFOAなどの排出量と製品に含まれる量をゼロにするという管理プログラムを公表した。また、経済協力開発機構(OECD)はPFOSに関するリスクアセスメント結果を発表した。さらに、EU(欧州連合)は2006年、PFOSの販売と使用を制限する内容の告示を行った。

使用規制の動きは国際的に広がり、2005年に開催されたPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の第1回締約国会議(COP1)で、使用を制限すべきという提案がなされた。その後のCOP4では条約の附属書B(制限)への追加が勧告され、代替技術の開発を進めながら将来的に廃絶する方向性が打ち出された。

国際的な動向を受けて、日本は2009年に化審法(化学物質審査規制法)を改正し、PFOSを第1種特定化学物質に指定して製造と輸入を許可制にし、事実上禁止した。なお、PFOAについては一般化学物質として、製造及び輸入数量の届出が必要だ。PFOSの基準については、環境省中央環境審議会水環境部会が、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の見直しにあたって対象物質として検討を進めている。また、農林水産省はリスク管理を優先して実施すべき有害化学物質としている。

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