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「脱炭素」 詳細解説

読み:
だつたんそ
英名:
Post Carbon

地球温暖化の進行に歯止めをかけるためには、その原因となる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を防止する必要がある。CO2を減らすには、発生源である石油や石炭などの化石燃料をできるだけ使わないこと、脱却することが求められる。このように、大気中に炭素(CO2)を放出する化石燃料以外のエネルギーを選択、使用したり、エネルギーに含まれる炭素を除去したりすることをまとめて脱炭素と呼び、そうした努力によって実現される持続可能な社会を脱炭素社会という。

脱炭素と似た言葉に低炭素社会がある。こちらは、CO2の排出を自然が吸収できる量以内に最小化する「カーボン・ニュートラル」の状態を目指すもの。一言で言えば、化石燃料に依存している文明のあり方を見直し、低炭素化の努力を続けていった究極の姿が脱炭素社会だ。「2050 日本低炭素社会」プロジェクトチームは2007年にまとめた報告書の中で、低炭素社会の実現可能性に関連して、エネルギーを合理的に利用すればCO2排出量を7割減らすことができるとしつつ、その前提としてエネルギー供給の脱炭素化が欠かせないと指摘している。

脱炭素社会の実現には、化石燃料ではなく、水力、太陽光、太陽熱、風力、地熱、バイオマス、波力などの再生可能エネルギーを利用することが必要だ。政府は2008年、温室効果ガスの排出量を2020年までに現状比で14%削減するため、再生可能エネルギーなどの比率を50%以上に引き上げる方針を示した。また、同年7月に開催された北海道洞爺湖サミットでも、再生可能エネルギーや、クリーンで低炭素な技術の利用を促進する宣言が採択された。原油価格の高騰など近年の厳しいエネルギー事情も、エネルギーの低炭素化、ひいては脱炭素化を目指す動きに拍車をかけている。

こうしたなか、脱炭素社会に向けた「つなぎ」の技術として注目されているのが、CO2の回収・貯留技術(CCS)だ。排出されたCO2を分離、回収して、地下などにため込むことで大気への放出をおさえ込む。また、脱炭素化した電気などをエネルギー源とするヒートポンプ住宅やプラグインハイブリッド車省エネ家電など、CO2の発生をおさえた技術を開発し普及していくことも、脱炭素社会の実現には欠かせない。一方、燃料電池やマイクロガスタービンなどの分散型電源の燃料となる水素こそ、脱炭素社会の切り札であるという研究者もいる。また、政府や産業界の中には、一次エネルギーの脱炭素には原子力の利用が欠かせないという意見が根強い。

これに対して、環境NGO/NPOや研究者からは、温室効果ガスの排出枠に上限(キャップ)を設け、排出枠を割り当てられた参加者が自由に売買(トレード)する「キャップ・アンド・トレード」型の排出量取引制度と、環境税などの経済的手法を組み合わせることが、脱炭素社会への移行を促す政策手段として有効であるという声が上がっている。(財)世界自然保護基金ジャパン(WWF ジャパン)は、2007年に「脱炭素社会に向けた国内排出量取引制度」を提案した。

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