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「公害」 詳細解説

読み:
こうがい
英名:
Public Nuisance

環境基本法公害について、「環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる」もので、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることと定義している。具体的には、大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く)、悪臭の7種類だ。これら以外にも、食品、薬品、日照、電磁波などによる公害もある。

日本の公害の原点とされるのが、1880年代に始まったとされる足尾銅山鉱毒事件だ。戦後になると、高度経済成長にともなって各地で産業公害が多発し、深刻な健康被害をもたらして社会問題化した。とくに、水俣病(熊本県水俣川流域)、新潟水俣病(新潟県阿賀野川流域)、イタイイタイ病(富山県神通川流域)、四日市ぜん息(三重県四日市市)は産業公害の典型例とされ、四大公害と呼ばれている。

こうした深刻な公害問題を受けて、政府は1967年に公害対策基本法を制定した。1970年11月末に開催された臨時国会(第64回国会)で公害問題に関する法令の整備が行われ、「公害国会」と呼ばれた。その後1971年に公害対策、環境対策を行う官庁として環境庁(現在の環境省)が設置され、1993年には公害対策基本法に代わって環境基本法が制定された。都道府県は同法に基づき、公害の著しい地域について公害防止に関する施策を実施するため、公害防止計画を策定する。

また、同計画の一環である公害防止対策事業計画は、都道府県知事が公害財特法に基づく財政上の特別措置を受けようとする場合に、環境大臣の同意を求めて協議するための計画だ。対象事業は、下水道の設置・改築、しゅんせつ、農用地における客土、ダイオキシン類土壌汚染対策などだ。一方、公害による被害者の保護のために公害健康被害補償法があり、公害紛争および土地利用を調整するための機関として公害等調整委員会がある。公害紛争の迅速かつ適正な解決を、裁定や調停などによって図る機関だ。

近年、産業界による公害防止策や環境保全のための取り組みが進んだこともあり、典型7公害に関する大規模な公害問題の発生は少なくなってきた。しかし、ダイオキシン類などの化学物質による環境汚染や、アスベスト(石綿)による健康被害が明らかになるなど、新たな公害が起きている。2012年5月には、関東4都県の浄水場で基準値を超えるホルムアルデヒドが検出され、取水停止などの措置がとられたこともある。

一方、工業化が進む中国などの国々においては、過去に日本が経験したような大規模な公害の発生が報告されている。PM2.5による大気汚染もそのひとつだ。公害を克服してきた実績をもつ日本の国際的な役割が期待されている。

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