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「バイオマスエネルギー」 詳細解説

読み:
ばいおますえねるぎー
英名:
Biomass Energy

再生可能な、バイオマス(生物体)由来の循環型エネルギーが、再生可能エネルギーの旗手として注目されている。バイオマスとは、生物(バイオ)の量(マス)を意味する合成語で、草食動物の排泄物なども含め、1年から数十年で再生産できる植物体を起源とするものを指す。たとえば、木材、海草、生ゴミ、紙、動物の死骸や糞尿、プランクトンなどの有機物がその元となる。

バイオマスエネルギーは、石油や石炭などの化石資源に対し、「生きた燃料」ともいわれる。木材などを燃やせば二酸化炭素(CO2)が発生するが、排出されるCO2はもとは大気中にあったものが動植物の生体内に固定されたものであるため、地球規模で見ると、吸収から排出までの正味の排出量はゼロになる。つまり、使用してもCO2を増やさないエネルギーである。従来は、薪や炭、動物の糞を燃やすなど、単純な形で利用されてきたが、今日では、サトウキビやトウモロコシなどをアルコール発酵させて燃料用エタノールをつくることや、生ゴミや活性汚泥をメタン発酵させてメタンガスとして利用するなど、化石燃料に代わるエネルギー源としての活用が期待されている。

地球温暖化防止、循環型社会形成、戦略的産業育成、農山漁村活性化等の観点から、バイオマスエネルギーへの注目が高まっており、2001年6月には、政府の新エネルギー部会で「積極的に導入を図っていくことが適当」な新エネルギーして位置づけられた。また、2002年12月には、バイオマスの利活用推進に関する具体的取り組みや行動計画が「バイオマス・ニッポン総合戦略」として閣議決定された。その後、2006年3月に、これまでの状況や2005年4月に策定された京都議定書目標達成計画を受けて見直しが行われた結果、国産バイオ燃料の本格的導入、林地残材などの未利用バイオマスの活用等によるバイオマスタウン構築の加速化などを図るための施策が推進されることとなった。政府が立てている2010年までの新エネルギーの供給見通しでは、バイオマスの熱利用分野で68万klから308万kl(原油換算)への拡大が見込まれている。

さらに、2005年4月に閣議決定された「京都議定書目標達成計画」では、CO2削減対策として、輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料の導入促進が盛り込まれている。資源エネルギー庁ではこれを受けて、サトウキビなどで作るバイオエタノールを原料に製造したETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)をガソリンに混ぜて使うことを、同計画の目標年次である2010年度から始めるため、供給安定性や経済性、環境影響、安全性等の課題について議論を行っている。こうした動向を受けて、石油連盟もETBEのガソリン混合利用に向けた準備を進めている。

国際的には、地球温暖化防止の観点に加えてエネルギー安全保障の観点等からも、バイオマスエネルギーへの注目が高まっている。EUでは、加盟各国にバイオマス由来燃料、再生可能燃料の導入目標の設定を義務づける「輸送用のバイオマス由来燃料、再生可能燃料の利用促進に係る指令」(2003年)が発効した。また、米国では「2005年エネルギー政策法」が成立し、自動車燃料への再生可能燃料の使用目標が大幅に引き上げられた。また、中国では2005年に「再生可能エネルギー法」が制定され、バイオエタノールやバイオガスの供給体制を強化することとしている。

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