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「燃料電池」 詳細解説

読み:
ねんりょうでんち
英名:
Fuel Cell

水を電気分解すると、水素と酸素が発生する。燃料電池はこの反応とは逆に、酸素と水素を電気化学反応させることで、化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電装置だ。燃料電池は、基本的には陽極となる空気極と、陰極となる燃料極で電解質を挟んだサンドイッチ構造をしている。この構造物をセルと呼び、セルを積み重ねることで電圧をあげる。使用する電解質の違いにより、リン酸形、固体高分子形などに分かれる。これらの反応によって発生する物質は水だけで、発電効率が高く、大気汚染騒音などの環境負荷が少なく、温室効果ガスも発生しない。このため、地球環境にやさしい発電装置としての期待が高まっている。

燃料電池の原理は19世紀に英国で発見され、1952年に同国の学者が電池の発明に成功した。その後、1960年代に米国で宇宙船用と同時に一般用の開発が進められた。日本でもほぼ同時期に、電力事業やホテル・オフィスなどで使われるリン酸を電解質に使った燃料電池の開発が進められ、実用化への道が開かれた。1990年代に入ると、イオン交換膜を電解質に使った固体高分子形の燃料電池が開発された。日本の燃料電池関連技術は世界のトップレベルにあるといわれており、自動車、家庭用コジェネレーション、モバイル機器など、個人や家庭向けの発電装置としても注目されている。

経済産業省は2014年6月に、「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を公表した。同省の水素・燃料電池戦略協議会における検討結果をまとめたものだ。同年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画にも、ロードマップの策定が盛り込まれている。ロードマップは、家庭用燃料電池や燃料電池車(FCV)などの技術を活用して、省エネの大幅な実現や世界市場の獲得を目指すとしている。また、2020年代後半に、供給側における水素供給システムの確立と、需要側における水素発電の本格導入を図る。さらに、2040年頃に、再生可能エネルギーを用いた水素供給システムの確立を目指す。

なかでもFCVは、次世代自動車として自動車メーカーが実用化に向けた研究開発を進めている。トヨタ自動車は2014年、セダンタイプのFCVを国内で販売開始すると発表した。また、ホンダやダイハツなどもFCVの開発を進めている。政府も燃料電池車の開発を国家プロジェクトとして位置づけているが、水素を供給する水素ステーションの整備や、一度の補給で走行できる距離の改善など課題は多い。燃料電池の小型化が進んだことで、ノートパソコン用の電池などにも使われるようになった。車やパソコンなどに使用されれば、生産コストの低下が期待でき、急速に普及することも考えられる。

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