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「古紙リサイクル」 とは

読み:
こしりさいくる

 紙として使い終わった「古紙」を、製紙原料などに再生してトイレットペーパーや各種用紙などの紙製品に再利用したり、他の用途に用いたりすること。紙は本来、リサイクルに適した材料といえる。紙の材料であるパルプは、原料の木を化学的処理などによって繊維状にしたもので、一度使われた紙は再び繊維状に戻しやすいためだ。日本では、製紙原料に含まれる古紙の割合を高める努力を続けた結果、2007年には、紙の原料における古紙利用率は約60%(約1901万t)、パルプが約40%となっている。古紙リサイクルを進めることは、森林資源の有効利用の観点から有効であり、省エネルギーやゴミの減量にも役立つ。

紙リサイクルの一般的な過程をみると、製紙工場に運び込まれた古紙は、初めにパルパーという機械に投入される。ここで水と混ぜられて繊維にほぐされ、紙以外の異物(金属、木片、プラスチックなど)のほとんどが除去される。続いて、インキ抜きを行う場合、古紙パルプはその工程を経てから、そのまま、あるいは新しいパルプと配合されて紙になる。一方、インキ抜きをしない場合は、主に段ボールなどの紙箱類に使われる板紙をつくる機械によって紙にされる。

日本では、古紙リサイクルの基盤となる古紙の回収率が高まり、2007年には73.8%に達した(紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計月報、日本貿易統計月表)。日本製紙連合会では、2010年までに古紙利用率を62%まで高めるという努力目標を発表しており、その実現のためには、さらなる古紙の安定確保が必要となる。一方で、古紙の価格は回収量や主な用途である製紙原料の需要動向などの影響を受けて変動しやすいため、古紙の不足やだぶつきが起きやすい。この点が、古紙リサイクルを阻む大きな問題となっている。古紙利用率はここ数年上昇傾向にあり、古紙価格は2004年には上白で40〜44円/kg、中白で22〜37円/kgだったものが、2008年には上白で44〜50円/kg、中白で26〜39円/kgとなっている。

かつて、古紙利用製品は、パルプ100%の紙に比べて白色度や質感などが低い割に価格が高かったが、近年、品質が向上してコストが下がったという理由からコピー用紙などを中心に利用が急増し、官公庁や企業のオフィスで古紙を回収・分別したり、再生紙を利用したりすることが常識となった。しかし、2008年1月に、年賀はがきの古紙パルプ配合率不足に関する報道を機に、大手製紙メーカーが長期にわたって古紙の配合率を偽っていたことが発覚し、大きな社会問題となった。グリーン調達・購入の前提にもなる古紙の配合割合を製紙メーカーが偽装していたことで、市民や事業者などのリサイクルへの信頼は根本から揺らぎ、グリーン購入やリサイクルなどの環境分野に悪影響を与えた。

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