1960年代から欧米で始まり、その後、世界へ広がった市民運動。人間も生態系の一要素であるという視点に立ち、自然環境とバランスよく共存する生活や社会を築くことを目標とする運動が多い。自然保護や公害対策だけでなく、食の安全と安心、脱原発、リサイクル推進などの活動も、エコロジー運動に含まれる。ヨーロッパの「緑の党」のように、市民運動から出発して地方議会や国会で議席を獲得し、政治的な影響力をもつようになった政治団体もある。
いわゆるディープ・エコロジーの提唱者であるノルウェーの哲学者、アルネ・ネスは、エコロジー運動についての総括を行っている。彼の定義によると、先進国を中心とする人間の物質的な豊かさや健康を維持・向上するため、環境汚染や資源枯渇に対応する運動のことをシャロー・エコロジーという。一方、生命圏平等主義を原則として、地球上の生命体や人間などの存在を相互に関連した連続体と見て、生態系全体の維持を考えるものをディープ・エコロジーと呼ぶ。