A: 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)は、2012年に「自然資本宣言」を公表した。金融機関が自然資本の考え方を金融商品やサービスに取り入れていくことを約束したもので、多くの金融機関が署名し、日本からは三井住友信託銀行が参加している。自然資本を定義し、その重要性を強調した上で、金融機関がリーダーシップを発揮して自然資本の適切な価値評価を行うことや、政府による支援の必要性などを主張している。そして、「自然資本の使用に関する計測と情報開示を適切に標準化」することと、「民間セクターが自然資本の考え方を、リポーティング、会計、意志決定に取り入れるようコミットメント」することを表明している。
A: 自然資本に対する環境負荷を「見える化」するには、製品やサービスについて、原材料の採取や調達、輸送、工場での加工・製造、廃棄に至るサプライチェーン全体を見渡す必要がある。それぞれの段階で土壌、大気、水、植物相、動物相にかけている負荷を洗い出し、数値化する。それにより、事業活動のどの段階で、自然資本に対する負荷をどれだけかけているかがわかり、調達手段・経路や製造プロセスの見直しなどの改善につなげることが可能になる。一方、環境省は2014年に湿地がもつ経済的価値を評価しており、湿原は年間約8391億円~9711億円、干潟は年間約6103億円と試算している。