宇宙飛行士の若田光一さんの講演会「日本人初のISS船長(コマンダー)若田光一氏が語る宇宙開発と産業の未来」が4月28日、関西高校(岡山市北区西崎町)の体育館で開かれた。主催は、空飛ぶ車の実用化を目指す航空宇宙産業クラスター「MASC」。(岡山経済新聞)
若田さんは1996(平成8)年、日本人初のミッションスペシャリストとしてスペースシャトル・エンデバー号に搭乗。2000(平成12)年にスペースシャトル・ディスカバリーに搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)の建設に関わる。2009(平成21)年から日本人初のISSの長期滞在し、2013(平成25)年から188日の長期滞在で後半は日本人初のISS船長も務めた。2022年には民間企業スペースXのクルーとして5度目の宇宙へ。通算504日の宇宙滞在時間は日本人最長記録を更新した。
当日は、同校吹奏楽部の「宇宙戦艦ヤマト」の演奏と共に登場。会場は高校生200人、一般参加者200人の計400人余りが参加した。1969(昭和44)年のアポロ11号月面着陸が幼少期の若田さんに与えた影響などから、NASAの訓練、1992(平成4)年に初めて宇宙飛行士として選ばれた時の記者会見の様子などについて話した。
若田さんは、尿や汗から水を作る技術や小型化や自動化が進み、クルーの訓練軽減により前澤友作さんのような民間宇宙飛行者が増えていること、2030年に現在15カ国で運用されているI SSの運用終了とともに民間主導での宇宙産業の可能性について話した。
若田さんは「ISSでの微少重力や真空に近い環境下を生かした経済活動ができる。ガンの治療薬などの創薬やIPS細胞を使った人工臓器の製造、半導体の製造なども可能性がある。ファッションブランドのプラダとは宇宙服の共同開発、フィンランドの通信機器メーカー・ノキアとは地上との通信の共同開発をするなど、民間だからできる国を超えた国際協力が生まれている」と話す。
後半は一般社団法人「宇宙旅客輸送推進協議会」代表理事の稲谷芳文さんと対談。アルテミス計画など月や火星への探査や人類滞在についても話した。「主体性のあるチームづくり」「UFOやエイリアンの存在について」「宇宙でのヒヤリとした体験」など参加者からの質問にも応えた。