オイル漬けやポップコーンが話題。“注目度No.1”台湾フードコーディネーターが手がけるモダンな食品雑貨店

  • 2025年5月3日
  • CREA WEB

国内外の美食家に注目される「Neighbour by LOUU」


豊かな感性でネオ台湾フードを作り出しているスロー・チェンさん。

 台湾で今、最も注目されているフードコーディネーターのスロー・チェン(陳小曼)さん。ミラノでフードデザインを学び、帰国後には食に関するさまざまな展覧会やイベントを手がけてきた人物です。

 2021年には台湾の食材を用いた保存食ブランド「LOUU」を立ち上げ、現在は食品雑貨店「Neighbour by LOUU」も経営しています。


調味料やワインが並べられた店内。コーヒーやお茶なども揃っています。

 店舗はMRT忠孝新生駅と忠孝復興駅の間に位置し、落ち着いた路地の中にあります。スタイリッシュな店内では、台湾の素材を用いたオイル漬けや酢漬けといった保存食のほか、ユニークなポップコーンやバター、さらにスローさん自身が厳選した調味料や食器が販売されています。

 ヨーロッパやネパールなど、旅先で買いつけたものもありますが、メインに扱っているは台湾のものです。


お店は、繁華街の近くにありながらも静かな住宅街の一角にあります。

 オリジナルのオイル漬けや酢漬けの商品を開発する際には、フードロスを少しでも減らせるよう、通常はあまり出回らない規格外の野菜をあえて使用するよう心がけているそうです。


規格外のトマトやパプリカを用いたオイル漬け。瓶のラベルもかわいいです。

 また、地域創生や町おこしにつながる商品も開発しています。たとえば、台湾北部の北海岸沿いにある金山では、夏になると「蹦火仔」という伝統敵な漁が行われます。これは海上で火を焚き、無数の小魚を引き寄せ、大きな網で捕獲するという独特な方法の漁です。100年以上続く漁法で、新北市の無形文化財にも登録されています。

 ここでは、この漁法で獲れた「青鱗魚(サッパ)」をオイル漬けにしたり、残った部位を粉末状にしてポップコーンにまぶしたりしています(2025年4月25日現在、オイル漬けは品切れ中)。


サッパの粉末をまぶしたポップコーン。

 このほか、スローさん自身が普段から愛用している調味料もあります。雲林県のメーカーによる黒豆を用いた醤油「濁水琥珀」や、破布子(イヌジシャ、台湾ではキャベツや魚の蒸しものに用います)など、手に取ってみたくなるものがいろいろ。リパックせずに、従来のパッケージのままで販売しているのもポイントです。


スローさんお気に入りの調味料が並べられたコーナー。

 さらに、スローさんはアルコール好きなこともあり、各種ナチュラルワインを取り揃えています。なかには、台湾中部の南投県埔里にワイナリーがある「威石東」のものも。また、スローさんの友人のブランドで、発酵食品で知られる「YANZHI 胭脂食品」の梅酒も人気だそうです。


「YANZHI 胭脂食品」による2021年と2022年の梅酒。

 ここには、スローさんが長年培ってきた人脈や経験、知識を活かした商品が勢揃いしています。商品数はあえて多くせず、その分、ほかでは見つけられないとっておきの商品をセレクトしているとのことです。

 彼女ならではのセンスとアイデアが随所にちりばめられた空間。そこに身を置くだけでもワクワクしてくるはず。自分用に、または友人用に、いつもとは違ったスペシャルなお土産を探してみてください。


入り口のコーナー。台湾フルーツの段ボール箱も装飾に用いられています。

台湾スパイスを用いた澎湖産タコのオイル漬け

◆油漬馬告章魚 360元


プリプリの小さなタコが入っています。黒い粒が「馬告」。

 海産物で知られる澎湖諸島産のタコを用いたオイル漬け。これに台湾原住民族がよく用いるスパイス「馬告」を加えています。

「馬告」のレモングラスのような爽やかな風味がタコとよく合い、格別な味わいです。お酒のおつまみにしても、バゲットやパスタのトッピングにしてもOK。残ったオイルをチャーハンに使うのもおすすめです。

タケノコやポルチーニなど、各種野菜・キノコのオイル漬け

◆油漬牛肝菌綜合菇 280元
◆油漬山椒桂竹筍 280元


自然豊かな台湾の山岳部で採れた桂竹。

 LOUUには、さまざまな野菜のオイル漬けがあります。規格外のトマトやパプリカをオイル漬けにしたもののほか、おすすめは台湾中部の達觀という集落で採れた桂竹(ケイチク)を用いたもの。シャキシャキとした食感に山椒のピリ辛さも相まって、忘れられない風味となっています。

 そのほか、牛肝菌(ポルチーニ)やエリンギ、椎茸、ホンシメジなど、各種キノコ類をオイル漬けにしたものも人気。こちらは、唐辛子やホワイトビネガーが加えられており、ピリ辛でありながらさっぱりとした風味。オムレツの具材に使うのもよいでしょう。

 こうしたオイル漬けは調理時間を短縮するのに役立ち、忙しい方たちの味方でもあります。


キノコ類は細かくカットされており、食感もグッドです。

ラー油風味や魚風味の変わり種ポップコーン

◆LOUU×886 臺式辣椒油味 180元
◆露物爆米花 豆豉煙火魚味 180元


黑大蒜味(黒にんにく)やピリ辛味、昆布&ほうじ茶味などもあります。

 ポップコーンは全部で5種類ありますが、おすすめはニューヨークにある台湾料理レストラン「886」とコラボしたもの。シェフ秘伝のラー油を使用しており、適度な辛さがたまりません。

 もう一つ特色のあるフレーバーは、金山の伝統的な漁法で獲れた「サッパ」の頭と尾の部分を粉末状にしてまぶしたもの。これには豆豉(発酵させた大豆)も加えられており、濃厚な味わいとなっています。

清らかなサンゴ礁の周辺で採れた海塩

◆綠島珊瑚海鹽 200元


料理好きな人にプレゼントしたくなるこだわりの塩。

 台湾の東部、台東の沖合に位置する綠島。こちらは、この島のサンゴ礁周辺で採取された海塩です。ミネラル豊富で、スローさんによればうっすらと昆布の風味がするとのこと。お店の商品にもこちらの塩を用いているそうです。

ミニ瓶に入った手頃な台湾スパイス

◆台灣原味 日曬馬告 180元
◆台灣原味 乾燥刺葱 180元


上が「馬告」、右が「刺葱」。料理のアクセントに使いやすいスパイス。

 台湾原住民族がよく用いるスパイスで、レモングラスのような風味の「馬告」。そして、山椒のような香りのする「刺葱」。いずれも近年、台湾で注目されているスパイスです。

 肉や魚料理に加えると、風味がアップすること間違いなし。サイズが小さめなので、お試しで購入できるのがうれしいところ。

台湾茶をベースに、土地の風土を表現したリキュール

◆仃杉實驗室(S.C Lab)仃杉蒸餾紅茶酒 1500元
◆仃杉實驗室(S.C Lab)茶米酒 1280元


ボトルもお洒落! 左が茶米酒、右が仃杉蒸餾紅茶酒。

 2020年に、実家が有機茶園であるマイキーさんが仲間とともに立ち上げたブランド「仃杉實驗室(S.C Lab)」。台湾茶をベースにした蒸留酒を開発・製造し、お酒を通して台湾の風土や文化を伝える取り組みをしています。

 特に、台湾紅茶と炭火で燻されたリュウガン、馬祖島原生の金銀花を組み合わせた蒸留酒は特別な味わいとなっています。

 そのほか、米どころである花蓮県で有機栽培されたアワ酒をベースに、菊の花や阿里山産の蜜香紅茶を加えたものも上品な甘さと評判です。お酒好きの方はお見逃しなく。

Neighbour by LOUU(ネイバー・バイ・ルー)

所在地 台北市大安區忠孝東路三段217巷3弄3號
電話番号 非公開
営業時間 11:00〜19:00
定休日 火曜、水曜、木曜
アクセス MRT忠孝復興駅2番出口から徒歩約7分、MRT忠孝新生駅3番出口から徒歩約7分
https://louufood.co/


片倉真理(かたくら まり)

台湾在住ライター。1999年から台湾に暮らし、台湾に関するガイドブックや書籍の執筆、製作に携わる。そのほか、機内誌への寄稿や女性誌のコーディネートなども手がけている。

文・撮影=片倉真理

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