群馬県桐生の工場をリノベーション♪ スペシャルティコーヒーが味わえる自家焙煎珈琲の名店「itoya coffee factory」へ

  • 2025年3月1日
  • ことりっぷ


コーヒーの生豆の買い付けからこだわり、自家焙煎のスペシャルティコーヒーを提供する群馬県桐生市「伊東屋珈琲 本店」は、ファンも多い人気コーヒー専門店。今回ご紹介する2号店の「itoya coffee factory」は、本店の近くにあり、旧繊維工業試験場をリノベーションしたスタイリッシュなカフェです。
極上のコーヒーと一緒に、本格的なケーキやコーヒースイーツ、フードを楽しみませんか。レトロな建物や、オーナーが集めたセンスのいい工業デザインの家具や器も注目です。
桐生市に本店がある「伊東屋珈琲」は、2005年にオープン。2025年には20周年を迎え、コーヒー通からも評価の高い自家焙煎珈琲店です。栄養士の資格を取得したあとに、製菓学校に通ったというオーナーの高松美恵子さん。「食に興味があって。ケーキ屋さんで厨房にこもって働くよりは、接客しながらケーキを作るのは大変なんですけど、カフェのようなお店のほうが自分には合っているかなと思っていました」
都内のカフェに勤務したあと、千葉県流山市で6年間、テナントとしてカフェを営業。その後、実家がある桐生市に移り、「伊東屋珈琲」としてオープンしました。本店は新潟の古民家の梁と柱を移築再生した建物で、桐生の町になじむ趣のある雰囲気がすてきです。
10年ほど本店のみで営業していましたが、大きな焙煎機を導入するにあたり、それが置けるような2号店を探していました。そして見つかったのが、昭和に建てられた桐生の繊維工業試験場として使われていた建物。織物の町・桐生らしい歴史がある建物です。
試験場のあとは「フジマキネクタイ」というネクタイ工場になっていましたが、こちらを所有していた藤巻さんに声をかけ、借りられることに。このネクタイ工場をリノベーションして、2014年に2号店の「itoya coffee factory」がオープンしました。
リノベーション前は生地を洗っていたような試験場の名残のある洗面所もあり、「面白い物件でした」と高松さん。リノベーションでは壁や焙煎機を置く床、天井も抜いて、真っ白に塗ったそう。ガラスや建具、入口付近のコンクリートや木の床は当時のままを使っています。どことなく残る工場のレトロ感がおしゃれです。
窓際のカウンターの枠を作ってくれたのは桐生在住のアーティスト、唐澤龍彦さん。伊東屋珈琲のコーヒーのパッケージやカップなどのイラストを描いていますが、本業はステンレスなどの加工会社の方。「キャラクターは伊東屋珈琲オリジナルです。犬とか熊とか人間とか決まっていないらしくて、見る人の自由でと唐澤さんが言っています」と高松さん。
factoryに設えた家具は、ドイツの「バウハウス」など工業デザインのものが多く、フランスの工業用ランプ「ジェルデ」などさまざまなものを使っているそう。「私が好きなデンマークのアーティストでナナ・ディッツェルという女性がいるんですが、トリニダードチェアというのが有名で、factoryの丸いテーブルと合わせたチェアがそうです。ほかに、流山でも使っていたフランスのカフェにあるような椅子、実家の工場にあったテーブルなどいろいろです」と、デザイン関係にも造詣が深い高松さんがセレクトしたものが置かれています。
「ロイヤルコペンハーゲンとか、ビング・オー・グレンダール、アルミニアのデンマークの三大メーカーのものが好きで、都内のカフェで働いていたころからちょっとずつ集めていました」といい、集めたカップもお店で使っているとか。
主役のコーヒーは、生豆の買い付けから関わっています。「カッピングといってコーヒーのテイスティング、コーヒーの味を見る作業はかならず買い付けの前にしています。ロットによっても質が違うこともあるので、味を見分けられることが重要」と高松さん。
その年の高品質なコーヒー豆を決める国際的な品評会、COE(カップオブエクセレンス)のカッピングフォーム(審査方法)で、できるだけ84点以上という高評価の豆を世界の名産地や農園から直接買い付けているため、スペシャルティコーヒーの中でもクオリティの高いコーヒーが味わえますよ。
「本日のコーヒー」や「スペシャルロットコーヒー」は、フレンチプレスで淹れてくれます。「カッピングの採点方法に採用されている淹れ方は味がダイレクトに出るので、その方法に一番近い形がフレンチプレスです。コーヒーのオイル部分においしい旨みがあるので。ペーパーフィルターだとそれを吸ってしまいます」と高松さん。コーヒーの味もやわらかなくなるそう。
大きな焙煎機は、「ローリングスマートロースター」というアメリカ製のもの。煙もでないタイプで、水分がきれいに抜けて焼け、おいしくいい状態が長く続くとか。
「エスプレッソ」は、バリスタが選んだ日替わりの豆で提供。「カフェラテ」は、エスプレッソにスチームしたミルクをバリスタが注ぎ、ラテアートを作ります。ミルクの温度も熱すぎないように、甘さが一番出るポイントで作っているそうです。
スイーツも充実。主役のコーヒーに合うようにレシピを考えた自家製ケーキがそろい、factoryでは6種類ほどの本日のケーキが楽しめます。定番人気なのが「イチジクとクルミのタルト」。生地にはバターをふんだんに入れ、サクサクした食感になるようにフランス産の小麦粉を使っています。タルト生地やアーモンドクリーム、上に乗せたクランブルにはアーモンドパウダーがたっぷり。ワインで煮たイチジクの上品な甘さやクルミの食感も楽しんで。
ほかには、レシピが10種類ぐらいあるという日替わりのチーズケーキや、ふわっとした口どけのイタリア菓子「松の実とリコッタチーズのケーキ」、「かぼちゃのプリン」、「キャトルキャール」なども人気ですよ。
食事メニューのおすすめは、流山のカフェ時代から人気だったという「キッシュプレート」。フランス産小麦粉とバターたっぷりの甘くないタルト生地に、乳脂肪が一番高いコクのある生クリームや牛乳、デンマーク産のチーズと乳製品もたっぷり使い、玉ねぎと地元の人気お肉屋さんのこだわりベーコンを入れた、贅沢な味わいのキッシュです。
自家製ドレッシングをかけた付け合わせのサラダは、市内の環境のいい場所で有機野菜を育てている「元気のでるファーム」のおいしい野菜。シャキシャキした食感の自家製ラペも評判です。ほかに、手作りのベシャメルソースを塗った「クロックムッシュ」もぜひ。
暖かくなってきたら食べたくなるのが、冷たいメニュー。パフェのような豪華な見た目も楽しい「カフェソフト コーヒーゼリー」は、器に深煎りのエスプレッソとオリジナルのコーヒーゼリーを入れ、コーヒーバニラ味のソフトクリームをたっぷり乗せたもの。
甘すぎず、つるんとしたのど越しのコーヒーゼリーは、焙煎したコーヒーを北海道の会社に送り、北海道の天然水で寒天ゼリーにしてもらっています。ソフトクリームにはお好みで粉末のエスプレッソをトッピングできますよ。どこを食べても濃厚なコーヒーの味が口の中に広がり、まるでコーヒーを飲んでいるかのよう。
「フローズン・カフェモカ」は、factory限定のドリンクメニュー。カフェモカにクラッシュアイスを入れた冷たいドリンクです。エスプレッソに、チョコレートソースやヘーゼルナッツシロップ、ミルクを加えたカフェモカは、スイーツのようなほどよい甘みがよく、ほろ苦いコーヒーとのバランスがいいですよ。
おみやげにぴったりのオリジナル商品もそろいます。厳選した各国のコーヒー豆はもちろん、ハウスブレンドやフレンチブレンド、午後の伊東家の3つの定番ブレンドも購入できます。手軽に楽しみたい方はコーヒーバッグやドリップバッグを。唐澤さんが描いた伊東屋オリジナルのイラストもかわいらしく、ギフトにもいいですよ。
めずらしい商品なのが、「クラッシュドコーヒーゼリー」。スペシャルティコーヒーと、てんさい糖で作ったコーヒーゼリーです。パックをよく振ってグラスや器に入れると、クラッシュされたぷるぷるのやわらかゼリーが出てきます。甘すぎず、ほろ苦い大人のゼリーは、牛乳やアイスとよく合いますよ。
2階にはギャラリーもあります。半月ごとに2週間ほどの期間で、絵画や写真、小物雑貨の販売などを開催。2階ものぞいてみてはいかが。
「itoya coffee factory」を訪ねたら、車で10分ほどの場所にある「伊東屋珈琲 本店」へ足をのばしてみるのもおすすめです。自宅兼店舗に憧れ、桐生の古い町並みで物件を探していたという高松さん。ちょどいい古い建物は見つからず、土地のみが見つかったことから、新潟県糸魚川に建っていた築150年以上の古民家の梁と柱を用い、桐生で移築再生したそうです。
黒光りする立派な梁や柱が支える店内は、「itoya coffee factory」とは異なる趣をみせてくれます。古い建具は高松さんやお母様の実家にあったものや、解体する古い家のものをもらったりしているそう。こちらは長年愛用している椅子やアイロン台、ミシン台なども活用し、どこか懐かしくなるような、落ち着いた大人のカフェですよ。
本店のほうが、少しケーキの種類が多いそうです。スペシャルティコーヒーと自家製ケーキのマリアージュをぜひ楽しんでみては。

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