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「蔵のまち」喜多方で素敵な蔵カフェや漆器店めぐり♪ 1泊2日でレトロな町さんぽ

  • 2022年7月13日
  • ことりっぷ


福島県喜多方市は「喜多方ラーメン」で有名な街。でもラーメンだけではないんです。「蔵のまち」としても知られ、市内には江戸から大正時代の素敵な蔵が点在しています。そんなレトロな建物をめぐりながら、カフェや漆器店、酒蔵などを訪ねる旅をしてみませんか。
古い蔵が建ち並び、「喜多方市小田付伝統的建造物群保存地区」に選定された「おたづき蔵通り」の中心地に建つ「酒蔵くらしっく 小原酒造」。1717(享保2)年に創業した老舗酒蔵です。風格ある建物はフォトジェニックで、多くの観光客が訪れます。
現在の10代目社長が1984(昭和59)年から新たに始めたのが日本初の音楽醸造。いろいろなタイプの音楽を聴かせた結果、モーツァルトが何度も賞を受賞するほどの美酒になったそうです。酵母を活性化させるために仕込み蔵にスピーカーを設置し、もろみ造りの時にモーツァルトを聴かせています。心地よい音楽が流れる環境で醸された日本酒の銘柄は、“蔵のまち“の蔵に粋をあわせて「蔵粋(くらしっく)」と名付けられています。
「蔵粋」は、聴かせたモーツァルトの曲に合わせて名前をつけており、写真の純米大吟醸は管弦楽曲を聴かせて仕込んでいるそうです。バランスがよく、白ワインのような味わいです。ピンク色がきれいな「純米桃色にごり 桜」は、酵母そのものが天然のピンク色をしており、甘酸っぱくておいしいお酒。どのお酒も飯豊山系の伏流水で仕込んでいます。
レンガ造りの麹室や明治時代初期の仕込み蔵などが見学できる約10分間の酒蔵見学(無料・仕込み時期や感染症の対策時は入口で説明)や、ショップで利き酒も行っています。お気に入りの1本を探してみてはいかがでしょうか。
続いては「酒蔵くらしっく 小原酒造」の向かいにある「竹工房 たけや」へ。オーナーの佐々木智子さんは、竹細工の学校がある大分県別府市で、真竹を使った竹細工の修業をして竹職人になりました。その後、以前から喜多方との縁もあって、後継者不足の福島県指定伝統的工芸品「雄国の根まがり竹細工」を受け継ぐ地域おこし協力隊として、2016年から3年間修業。2021年3月に工房をオープンしました。
「雄国の根まがり竹細工」は約400年前の江戸時代から続く工芸品。冬の手仕事として、雄国山に自生する根まがり竹を使い、農業用品や台所用品などの日用品を竹細工で作ってきました。柔らかくて柔軟性のある竹で作るかごは、素朴な風合いで素敵です。
工房でおすすめなのが竹細工体験。大分の真竹を使って、「花かご四海波」を作ることができます。根まがり竹の扱いは初心者には難しいそう。竹ひごを十字に組んだ状態からスタートするので、約1時間で完成します。自分の手で物を作る楽しさを実感できますよ。
ショップには佐々木さんの作品をはじめ、師匠や友人の作品、九州で作られた竹のスプーンやざるなどが並んでいます。竹ではないですが、地域おこし協力隊が作った喜多方産うるしを塗ったアイススプーンも人気です。実用性がありながら、日々の暮らしに温かみを添えるのが竹細工の魅力。実際にふれて、お気に入りの竹細工を探してみてくださいね。
住宅街にたたずむ、趣ある木造家屋の「食堂つきとおひさま」は、元豆腐店をリノベーションした築80年の古民家カフェ。昔懐かしいガラスの引き戸を開け、玄関で靴を脱いで上がるスタイルで、椅子とテーブルを置いた板張りと、ちゃぶ台を置いた畳敷きの部屋があります。レトロな空間は時間の流れもゆったりで、ついつい長居したくなる雰囲気です。
店主は喜多方市に隣接する北塩原村の出身。農家のご両親が田んぼや畑でお米のひとめぼれや野菜を作っており、おもにその採れたての野菜やお米を使っています。味噌や醤油、塩麹などの調味料や、スパイス系も手作り。旬野菜メインの「旬のおかず定食」はどのおかずもひと工夫されており、野菜の旨みを存分に味わえ、ごはんも進みます。
旬のフルーツを使ったチーズケーキなど手作りスイーツも評判。地元ベーカリーの天然酵母パンを使ったフレンチトーストは、カリカリの食感がよく、優しい甘さが口の中に広がります。アッサムティーと会津産牛乳を煮込んだミルクティーのチャイフロートは甘すぎず、さっぱりとした味わいで、フレンチトーストにもぴったりです。
カフェ正面の土間にはショップ&ギャラリーがあります。会津にちなんだ雑貨や食品、会津木綿の洋服などが並んでいるので、食後にぜひのぞいてみてくださいね。
ウッディな広々とした空間で居心地がいい「Cocco tree」は、なめらかプリンとパンケーキが人気のカフェ。とくに卵にこだわり、県内の阿武隈山系の水で育った鶏の卵「いきいきたまご(ジュリアライト)」を、プリンやパンケーキ、ふわとろのオムライスなどに使っています。この卵は黄身の色が濃く、濃厚なお菓子ができるそう。
プリンはさらに濃厚な会津地鶏の卵をブレンド。「こっこプリン」は口に入れた瞬間にスーッと溶けます。なめらかでほどよい甘さがたまりません。プリンの上にジュレをのせた二層の「とろ~りぷりん&ジュレ」も評判。甘さと酸味が絶妙でなめらか食感のレアチーズなどの定番や、いちごや桃、ぶどうなど旬のフルーツをジュレにしたものもあります。
カフェでゆっくり味わいたいのが「こっこぷりんブリュレわたぐもパンケーキ」。パンケーキは注文を受けてから、きめ細やかなメレンゲを立てて生地に入れ、低温でじっくり焼き上げます。20分ほどかかりますが、コーヒーハンターが厳選したコーヒーや、ドリンクバーでビネガードリンクなどを楽しんで待つのもいいですよ。
運ばれてきたパンケーキはぷるぷる。通常のパンケーキになめらかプリンをソースのようにかけ、さらにフランス産のカソナード(砂糖)を振りかけて、パリパリにブリュレした贅沢なコラボパンケーキ。ふわふわの食感で、卵のおいしさが際立つパンケーキです。アイスや生クリーム、季節のフルーツと一緒に味わって。
2日目は国道495号沿いにある国登録有形文化財「旧甲斐家蔵住宅」の見学からスタート。まずは通りに面した黒漆喰の立派な店蔵に立ち寄り、受付をしてから隣接する座敷蔵の見学に行きましょう。レンガ塀に設けられた戸をくぐると日本庭園があり、池の向こうに黒漆喰のどっしりした蔵座敷が建っています。
甲斐家は幕末から大正時代にかけて醸造や製糸業で財を築いた豪商。その4代目が建てた立派な蔵座敷は1917(大正6)年から7年を要したといいます。1階の座敷は上段の間と下段の間を合わせて51畳の広さを誇り、豪勢な造りです。現在は庭からの見学となりますが、無節の檜や紫檀など厳選した銘木を使った豪華な座敷は必見。見学は無料です。
窓ガラス越しに母屋も見学しながら店蔵へ。店蔵にはパンフレットもあり、観光案内も行っています。一番の見どころは美しい螺旋階段。1本の欅の大木を手斧で削って造作したもので、くぎを1本も使わずにこの場所にはめこんだ、吊り階段になっています。
駐車場のそばで座敷蔵の裏側にあたる場所に、醤油蔵や味噌蔵、麹蔵が建ち並んでいます。醤油蔵のレンガ造りの煙突は近代化産業遺産にも認定されていますよ。
喜多方は漆器業も盛んで、お椀や皿など日用で使う漆器が作られてきました。なかでも「北見八郎平商店」は、江戸時代の1852(嘉永5)年に創業した歴史ある漆器専門店で、漆器を販売する「漆器蔵 会津野」と、併設する蔵カフェ「珈琲蔵ぬりの里」を営む人気店。「珈琲蔵ぬりの里」は、明治15~20年ごろに建てられた漆器の保管蔵をカフェとして利用し、レトロな雰囲気に心も和みます。
熱が逃げないという特徴があり、万能な食器として重宝されている漆器。木の温もりと漆器の口当たりのよさを実感してもらうために、スイーツやコーヒー、パスタなどの食事メニューも漆器で提供しています。漆器でいただくとおいしさも増し、贅沢な気分になれます。
人気メニューは「蔵セット」。漆器の口当たりと合う、やわらかい味わいの「蔵コーヒー」と、モチモチのパンケーキ「お蔵ケーキ」のセットです。「お蔵ケーキ」は十勝産小豆で作った自家製餡と生クリームをたっぷりサンド。ほどよい甘さの自家製餡はパフェやお餅などさまざまなメニューに使われているので、ぜひ味わって。
今、注目のスイーツは「おいもアイス」です。厳選した紅はるかの焼き芋を瞬間冷凍し、甘みを引き出したサツマイモを使ったスイーツ。角切りにしたサツマイモはシャーベット状で、冷たくねっとりした芋の濃厚な甘みがたまらないですよ。
「珈琲蔵ぬりの里」でゆっくりとスイーツを楽しんだあとは、「漆器蔵 会津野」でお気に入りの漆器を探してみましょう。普段使いしやすい漆器をコンセプトにデザインしたオリジナル漆器の中には、カフェで使った「蔵コーヒー」のカップなども並んでいます。
喜多方の取り組みとして、市内の学校給食で喜多方産のうるしを塗った「給食椀」が使われています。実用的で一般的な器としても人気で、味噌汁やスープ、カレー、サラダ、鍋の取り皿にもおすすめです。サイズは大中小ありますが、中椀2090円を購入する方が多いそう。
もうひとつ喜多方らしいのが「喜多方らーめん箸」。箸先にレーザー加工で彫りを施し、麺類はもちろん、玉こんにゃくなどもすべらずにつかめる優れものです。ほかに、洋食のパスタやカレーにも合う3色のカラフルな新作「plate ONE」や、同色のカップ「欅ロック」も評判です。なかでも鮮やかなグリーンが人気。漆器は氷を入れても結露しにくいのがいいところです。お皿とそろえて買うのもいいですね。
漆器は洗剤をつけたスポンジでも洗えるので、扱い方を知れば気軽に使えます。日々の暮らしの中に、木の温もりを感じられる漆器を取り入れてみてはいかがでしょうか。
続いて「漆器蔵 会津野」の向かいにある、人気の会津産ピーナッツ専門店「おくやピーナッツ工場」へ。2022年8月から「AIZUピーナッツマート」に名称が変わり、新たなスタートを切るそう。
ピーナッツは喜多方市にある自社の畑で社長やスタッフが栽培したものと、会津の契約農家が栽培した100%会津産のものを使っています。会津産ピーナッツは濃厚かつクリーミーで、オイル分がジュワっとし、少しやわらかめなのが特徴。栽培から加工、販売まですべて手掛けています。
ここでしか味わえないのが「ロイヤルピーナッツソフト」。手作りの渋皮入りピーナッツペーストを加えたソフトクリームは、濃厚なピーナッツの風味が楽しめます。トッピングの砕いた塩ピーナッツは食感のよさとほんのり塩味も感じられ、いいアクセントに。さらにチョコをかけた「リッチチョコクランキー」は、甘いチョコとの相性もぴったりです。
店内には、濃厚なピーナッツが口の中で広がる人気の「ピーナッツプリン」をはじめ、塩加減もほどよく、おつまみにぴったりの「塩ゆでピー」や、みそがらめ、素焼き、揚げ塩などさまざまなピーナッツ商品がそろっています。おみやげにおすすめですよ。
喜多方駅前に建つ煉瓦造りの蔵は、1976(昭和51)年創業の「珈琲専門店 煉瓦」。煉瓦造りの建物は1910(明治43)年築の甲斐家の元米蔵を利用しており、近代化産業遺産にも認定されています。煉瓦も市内の三津谷の登り窯で職人が焼いたものです。
店主の穴澤幸子さんの父が始めたカフェは現在、母の幸代さんと2人で切り盛りしています。クラシカルな雰囲気の椅子やステンドグラスの素敵な照明などは、開店当時のものを大切に使っているそう。カフェの名物は水で抽出する「ダッチコーヒー」。おいしいと評判の飯豊山の伏流水で約1時間かけてゆっくり淹れます。こちらはホットのみの提供です。コーヒーは雑味が少なく、あっさりした味わいが楽しめます。
軽食はコーヒーの香りが消えないものを提供しているそうです。幸子さんが作る「レアチーズケーキ」は、シンプルでなめらかな味わいが人気。父のレシピで作る「ミックスピザ」はチーズも濃厚で、カリッとした懐かしいピザ。どちらもコーヒーにぴったりです。
ダッチコーヒー以外にも、サイフォンで淹れるストレートコーヒーが11種類あります。豆に合わせてカップを使い分けるそうで、ダッチコーヒーのカップは帝国ホテルを手掛けたフランク・ロイド・ライトがデザインした復刻版を使っています。電車の発車時刻までゆっくりと香り高いコーヒーをいただき、喜多方の旅を振り返るのもいいですね。
1泊2日でゆっくり喜多方をめぐって、おいしいものを食べたり、文化に触れたりして、心身をリフレッシュする旅はいかがでしょうか。

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