自然科学写真の大先輩である竹村嘉夫さんから頂いたトプコンREスーパーのBody。竹村さんは、ぼくが当時副会長をやっていた自然科学写真協会の顧問であった。魚などの発生の写真や、顕微鏡写真などで著名である。
このカメラは竹村さんが実際使っていたカメラでブラックボディーだ。
REスーパーが発売されたのはは1963年,TTL露出計内蔵の画期的なカメラであった。当時の売価は50mm1.8付きで54000円というから、ペンタックスSPよりは高いがニコンよりはずっと安い。開放測光の世界初のTTL一眼レフである。このカメラはアメリカでは人気があり、中古でもニコンFより高いぐらいだ。(REシリーズの生産台数はニコンFの1/10以下という)しかし使い込まれたカメラが多く、このカメラの耐久性が優れていることがわかるのである。
ファインダーのTOPCONの文字は黒く塗りつぶされているのは科学写真家に使われた証拠みたいなものである。銀色のボディーは避ける、白文字は消す。これは当時の科学写真、特に水槽写真の常識みたいなものだった。水槽にできるだけカメラが写り込まないようにとの配慮である。
さてそんな由緒あるカメラだが、さすがに長年使っていないと、シャッターは粘ってしまっていた。裏蓋をあけちょっと分解しただけで完調になった。ところが喜んで撮影して、巻き戻して、また写そうと思ったら巻き上げがおかしい。無理に巻いてしまい、それで一巻の終わりとなった。巻き戻しボタンも粘っていたのに、その部分に油を差すのを忘れたのだ。
あけてみたがシャッターチャージのドラムがずれてしまって、ちょっとぼくでは修理不能。ひさなが光機さんに頼んで直して貰う羽目になった。
付けたレンズはカサールの単鏡筒マクロレンズ。実はトプコンはエクザクタマウントである。だからエクザクタ用のレンズやベローズが使えるというわけだ。エクザクタといえば1950年代までのベストセラーカメラであるから、レンズは豊富だし、接写用品なども揃っている。ベローズもドイツ製から日本製の輸出専用の物などサードパーティー製が数多くある。
マクロレンズもトプコンから単鏡筒のベローズ用レンズがいくつも出ていたし、世界各国からエクザクタ用のマクロレンズが多数発売されていた。当時は高倍率写真には他にもシネ用のレンズを逆さ付けして用いたり、顕微鏡用のレンズにも絞りがついて高倍率撮影に適したレンズがあった。
こうしてみると半世紀近くも前の方がマクロに関しては機材も豊富でレンズも好みのものを選べたことがわかる。ただし撮影は複雑な露出倍数の事などあり難しかった。マクロ撮影ができただけで写真家として認められたものである。このカメラで撮った写真はこちら
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