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海野和男のデジタル昆虫記

機内で

機内で
2008年08月15日


 飛行機に乗ると、いつもはじめての空の旅を思い出す。飛行機にはじめて乗ったのは1969年春のことだから、もう40年近く前のことだ。日本で乗ったことはなく、海外に行くときにだけ乗れる乗り物だったように思う。羽田空港へは、姉夫婦と兄が送ってくれた。海外に家族の誰かが行くとなると万歳をする時代の最後かなと思う。
 初めての海外はフイリッピン、シンガポール、マレーシア、バンコク、香港の一人旅だった。それから40年近くたって、今、クアラルンプル行きのマレーシア航空の席に座っている。
 今はファースト、ビジネス、プレミアムエコノミー、エコノミーと様々なクラスがあり、値段も様々。サービスも様々だ。1969年当時はエコノミーとファーストしかなかったと思う。エコノミー席は今のエコノミーより悪かったもしれない。でもサービスはずっとよかったと思う。それは飛行機に乗る人が少ない時代だったからだ。乗組員のステータスも誇りもあったと思うのだ。
 今は複雑に分かれてしまっているクラスだが、大昔はファースト、エコノミーだけだった。80年代にビジネスクラスというのができて、それに一度乗ったら、その快適さが値段の比ではないので、ずっとビジネスを撰んできた。
 航空業界にはIATAというのがあって、昔は切符の値段は均一だった。そのかわり、どの航空会社にも乗れる切符だったので、各社が競争した。はじめての海外旅行の時は当然エコノミーだが、シンガポール、バンコク、香港は各1泊で。全て航空会社持ちだった。マレーシアから日本に帰るのに、わざわざバンコク、香港を経由。1泊ずつして翌日は町を見て、夜の便で移動する。乗り継ぎ便がなければ1泊ただで泊まれるのである。暇だったからできたことでもあるが。
 今回はテレビの取材だ。テレビも最近は財政状況が厳しく、ビジネスをもらえないこともあるが、ぼくはできるだけ要求する。くだらないかもしれないけれど、ぼくにとって、海外にでることは、やはり特別なものであるという位置づけにしておきたいのだ。実際、昔のエコノミー同様のサービスが受けられるビジネスクラスは心地よい。だから自分で出かける場合も、できるだけ安いビジネスクラスを探すことにしている。
 とはいっても日本で買うビジネスは高すぎる。そして日本で買うエコノミーは安すぎるといつも思う。日本が不況になってから、日本発のエコノミー料金は世界で最も安い部類にはいるようになったのだ。それに比べディスカウントの少ないビジネスクラスは値段がそのままなので、差がどんどん開いてしまったというわけだ。

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