午後遅く、千曲川の河原でハチを観察していると、小さなアリのような虫がはい回っている。体長は2〜3mmしかない。とりあえず撮影したら。今年美大の院を出た、腰高くんが、これイッカクだと声を上げた。彼は小さな虫ほどデザインに自由度があると主張する好青年で、蝶のことは知らなくても、小さな甲虫になると、やたら詳しいのだ。あとで甲虫図鑑で調べるとツノボソチビイッカクという甲虫らしい。アリモドキという甲虫の仲間のようだ。
名前が面白いから、ぼくも反応してしまい、ビデオを回した。砂の上を歩き回り、餌を探している。脱皮殻のようなものを掘り出しては食べていたのだが、写真ではトリミングして何とかわかる絵しか撮れなかった。何しろ小さいのだ。小諸日記では初登場の甲虫だ。
こんな小さな虫が、自分の世界を持っていることがおもしろく思う。地面をはい回る2mmのこの虫の見る世界というのは、人の見る世界とはかけ離れているのかもしれない。
あまりにも小さいので、近くにあるアリジゴクの巣に落ちても、アリジゴクは反応しないし、この虫も全く落ちたことなど意識もせずにはい上がってくるのだ。砂粒は彼にとっては巨大で、ちょっと崩れやすい大きな石がごろごろした斜面を登る、人のような感覚なのかなと思う。E-520 50マクロ 2倍テレコン
子供の科学 サイエンスブックス「昆虫たちの擬態」増刷でき
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