ある時、熱帯の擬態の写真をアサヒグラフに持っていった。少し仕事をしていた朝日ラルースの方に紹介してもらったのだ。そしたらなんと連載が決まった。 「昆虫たちの意匠」というタイトルで1年近く連載した。擬態の話である。ここでは文章をたたき込まれた。450字だったかちょっと定かではないが短い文章で完結させるという訓練をさせられたわけだ。仕事をしながら勉強できる。必死になれば何とかなるもので、だんだんスムーズに書けるようになっていった。実地にやりながら覚えていくのが一番ためになると思った。
擬態はライフワークにしたいと思っていたからこれは嬉しかった。そして、それから10年ぐらい経つと、擬態の面白さもわかってもらえ、全く使ってもらえなかった写真が、引っ張りだこになるようになった。
擬態に本格的に興味を持ったのも。留年していた頃の日高研究室時代だ。ゼミで「ADAPTIVE COLORATION IN ANIMALS」(HUGH B. COTT)をやった。この経験がなければ、ぼくが擬態をライフワークにしたかどうかはあやしいものだ。
そして先日小諸日記のゴリラで紹介した羽田節子さんが日高研に見えた時、日高先生はビックラーの「擬態」に登場する昆虫について和名などをぼくにアドバイスするよう言われた。それでヴィックラー の「擬態」も読んだわけで、これも実に大きくぼくの人生に関わっている。
写真はハナカマキリの脱皮。 大昆虫記のマレー諸島編より。最初幼虫は赤と黒で花とは似ても似つかない。脱皮すると小さな花びらに変身。体は紫外線を良く吸収し、虫が見れば蜜のある花そのものに見える。
◎デジタルフォト連載、今月はスペシャルで8ページ。ペルーのチョウやハゴロモ。ユカタンビワハゴロモも載っています。岩合さんのパンダの良い写真がギャラリーにあります。
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