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海野和男のデジタル昆虫記

ランカウィ島(昆虫写真家への道7)

ランカウィ島(昆虫写真家への道7)
2007年01月17日

 フイリッピンからマレーシアに渡り、ランカウィ島へ行った。
1968年に、 「やどりが」という鱗翅学会の雑誌に森下和彦さんのランカウィ島採集記が載った。当時はマレーシアへ昆虫を探しに行った日本人はまだまだ少なく、ランカウィ島は森下さんが初めてで、ぼくが二人目だったと思う。
 マレー半島のチョウ(The Butterflies of the Malay Peninsula by A.S. Corbet and H. M. Pendlebury)という専門書があり、その本がバイブルだった。タイとの国境に近いクアラ・ペルリスから小船でランカウィのクアーという港に着いた。ランカウィ島といえば、今ではマレーシア有数のリゾートだが、当時は島に車が数台という静かな島だ。徳之島ぐらいの大きさの島かなと思うが、住んでいるチョウは500種ぐらいもあるという。昆虫の宝庫だ。
 マレー半島が典型的なスンダランドの生物相を示すのに対し、ランカウィ島ではビルマ系の要素が入る。多くの種で島特有の亜種に分化している。
 当時はランカウィ島の北岸は最高峰のラヤ山(800mぐらい)からジャングルが海岸まで続き、小道を海岸沿いに進めば、様々なチョウたちに出会うことができた。
 特にマダラチョウとアゲハチョウの仲間が多く、昆虫の擬態を目の当たりに体験することができる。マダラチョウだと思ったチョウがアゲハチョウだったりして、話に聞いてはいたけれどほんとうにびっくりした。
 海岸を西に1時間ほど進み、内陸部に折れてしばらく行くと民家があり、その庭に白い花の咲く木があった。チョウがその白い花に蜜を求めてやってくる。数日間で、ランカウィ島に分布しているほぼ全てのグラフィウムのメスに出会うことができたのだ。
 写真は1969年当時のランカウィ島北岸。ぼくは1975年頃を最後にランカウィ島を訪れていない。今は有数の観光地だから、この写真の場所も車の通る道になっているのではと思う。
ペンタックスSP 50mm 1.4 サクラクローム(退色があまりない、確か現像はコニカに直接送るようになっていた。このフイルムは外式だったのだろうか?)。
(つづく)

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