フイリッピンへ行った目的は、発見されて間もないベンゲットアゲハというチョウだった。このチョウの存在はルソン島と大陸との地理的関係がかってあったことを示す貴重なものだった。
69年の旅では、実はここでは写真を撮るどころではなかった。採集に一生懸命だったわけだ。よってピンぼけの飛翔写真しか撮れなかった。
ベンゲットアゲハは日本のアゲハと同種であると思う。日本のアゲハの春型のメスの標本を見せるとオスはそれに引かれてやってくる事なども実験してわかった。
1973年には再度訪れ、今度は写真を撮った。「チョウの世界」という写真集に載っている。左上の写真が1973年のもの。カメラは依然ペンタックスSP だ。レンズはマクロタクマー100mmF4。大きい写真は1977年の撮影でペンタックスMX にマクロタクマー100mmF4だ。下の写真は1969年撮影のベンゲットアゲハの住んでいる山の写真だ。すでにキャベツ畑が広がる開拓地であることがわかる。ベンゲットアゲハは残された小さな谷沿いの林に住んでいたのだと思う。こうした環境ではヒルトッピングといって、山の上にオスメスが集まってくる。交尾のためである。東御市にも似たような丘があり、そこでは春にアゲハとキアゲハがヒルトッピングしてくる。
今から考えると、採集に血眼だったという自分が懐かしくもあるし、何でもっと写真を撮らなかったのかとも思う。特に環境やスナップをもっと撮っておくべきだった。
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