このカメラは初心者に結構人気のあったカメラらしい。1972年の発売というから、ぼくがプロ宣言した直後の製品である。当時はキャノンのカメラは、ごつくて興味がなかったためか、名前ぐらいしか知らなかった。
前群のレンズを交換する方式で、レンズシャッター機と思っていたぐらい無知であった。今度、オークションで非常に安く入手したのだが、なかなか洗練されたデザインで、仕上げも良くいっぺんで気に入ってしまった。
機構もなかなかこっていて、絞りはロシアのキエフ10などのように、ボディー側のダイアルで合わせる変わった方式だ。面白いのは、フラッシュマチック方式で、専用ストロボを付けて、レンズの距離調節リングのレバーを倒すと、距離に応じて絞り値が変わる機構が付いていることだ。当時のストロボは光量調節ができないから、この方式が最も確かな露出を得る仕組みであった。実はぼくが今でも確実な露出を得るために接写に使っている方式も、これに近いものである。
交換レンズは35mm、50mm、90mm、125mmの4種。レンズ交換式といっても、フォーカシングリングのある後群は固定だから、写真のカメラのように125mmを付けると最短撮影距離は2m以上と、接写にはむかないカメラである。(背景は犀川コハクチョウ渡来地)
ちなみに当時人気のキャノンFTbは1971年発売だから、同時代のカメラということになる。
◎クラシックカメラで撮る自然写真(仮題)この夏人類文化社より発行予定
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