スタルト(スタート)は1958年から1964年にかけ76500台が生産されたペンタプリズム交換式の一眼レフである。76500台という数字はソ連のカメラとしては生産台数は少な目である。
50年代後半から60年代後半はソ連の黄金期であるように思う。アメリカと世界を二分し、イデオロギーでも資本主義と対抗し、宇宙開発競争を行ったことでもわかるように、その国力は今のソ連からは考えられないぐらい強力であったと思う。
カメラにもその片鱗が見いだされる。昨日紹介したゼニット5型も先進的なカメラであったが、このスタルトも一般のソ連の一眼レフと一線を画しているとぼくは思う。
スタルトが作られたいきさつは、ぼくの想像だが、科学カメラとしてではなかったかと思う。プリズムは交換式だし、レンズのボタンを押し込むと、絞りが絞り込まれシャッターが押せるというエクザクタ式のメカニズムは、ベローズなどに取り付けて使うときにも絞りを絞り込みやすい優れたシステムであるとぼくは思うのだ。少し前の科学カメラとして著名なアルパやプラクチナも同じ方式であるし、日本のミランダも同方式でアメリカの研究所などで安い科学カメラとして一世を風靡した。
◎クラシックカメラで自然を撮る(仮題・カメラ100機種以上の写真と、そのカメラで撮影した200枚以上の写真で構成)6月人類文化社より発売予定。
海野和男写真事務所へのご連絡、小諸日記へのご意見
プロフィールページのアドレスへ
掲載情報の著作権は海野和男写真事務所に帰属します。
Copyright(C) 2025 UNNO PHOTO OFFICE All Rights Reserved.