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Vol.179 音楽配信サービスの現状からさらに妄想をふくらませると…。

  • 2015年9月10日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 前回は、定額制の音楽配信が普及していくと、日常の消費行動についての意識が変わるんじゃないか、そしてその仕組みをそのまま社会貢献やCSRの現場に応用できれば、個々の喜びが社会を支えるという構図が成立するのではないか、というところで終わったので、その続き、いきますね。時間があったら178回(前回)を読んでみてください。

 支援する活動を選びたいと思っている人と、独りであるいは少人数で現場に飛び込んで活動に追われ、それゆえに資金的には決して豊かではない取り組みをがんばって続けている人たちをつなげる仕組みが出来ればいいのに、そんな仕事が一般的になったらいいのに、と僕は思っています。その仕事は、取り組みを続けている人たちからすれば自分たちのやっていることを広く効果的に伝えてくれるプロモーションだろうし、自分のお金を納得のいく取り組みに託したいと思っている人から見ればコンシェルジュ・サービスのようなものと言えるでしょう。音楽ということは、この仕事は、定額制音楽配信サービスでにわかに注目されている、お気に入りのプレイリストを公開するリコメンダーの役割に重なる部分がすごく多いと思うんですよ。音楽に詳しい人間っていうのは、一握りの突き抜けたプロを除けば、つい10年前には仲間内でちょっと感謝されるとか、ブログに読者がファンとしてつくとか、そういう感じだったと思うのですが、今は、リコメンダーとして音楽配信サービスで人気を集めたりできる。そうすると、選曲の公開(昔で言えばMixテープを作ってあげること)が演奏家や作家への再配分に直接関与することになるのです。うまくすればそれだけで稼げるようになるかもしれない。社会貢献事業などでお金を必要としている人とお金を託す相手を選びたいと思っている人を仲介する仕事がひとつの職種として成立する条件が整ったんじゃないかと僕が思う根拠はここです。どこで誰がどんな活動をしているとか、どこかの会社が支援する相手を探しているとか、そういうことに詳しい人がそれで食える仕組みを作れるんじゃないか、ということです。僕が知らないだけで、すでにそうやって生計を立てている方もおられるかもしれませんが、ある程度大きな枠組みを作って、そういう方たちの知識情報や人脈を活かしやすくすることができないか、ぼんやり考えているのです。

 先日さだまさしさんの主催するチャリティ・コンサートに呼んでいただきましたが、その日はさださんが「財団法人 風に立つライオン基金」を立ち上げた日でした。詳しくはリンク先に飛んでいただくとして、僕はびっくりしました。この連載で繰り返し言ってきたようなことも書いてあるし、何より、上に書いたような枠組みの一つといえる組織なのです。設立趣意書にこうあります。「国や県、或いは市といった大組織では目の届かぬことが我々の視線の最も大切なところだと思います。ささやかでも、個々人の人生の小さな支えになるよう、細やかな援助をしていきます。」こういう組織が存在すること自体が、僕にとっては大きな追い風です。少しずつ、一歩ずつ、ぼんやり全体をみながら進んでいきたいと思います。

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