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キャンプの恵み

Vol.28 セーフティネットを築くレッスン

  • 2013年3月28日

 早いもので3月も終わりです。私の働く日本キャンプ協会は、4月が新年度の始まりなので、今はバタバタと大忙し。そして、どんな事業をしていこうかな、何を大切にすればいいのかな、そんなことをたくさん考える時期でもあります。


自然の営みに畏敬の念を感じることも少なくありません。
 キャンプにはいろいろな意義があります。工夫が必要なキャンプの生活は、日常を快適に過ごすためのヒントの宝庫です。また、この不便さの経験は災害時にも役立ち、防災的な意味もあると言えるでしょう。自然の中で植物や動物の営みの精妙さに驚きを感じることがありますが、これは地球環境について考えるきっかけになるかもしれません。そして、どうしても活動量が増えますから、健康にだっていいはずで、アメリカでは「肥満解消」が効果としてうたわれることも。まぁ、さすがにこれは無理があるように思いますが、キャンプが生活習慣の改善に役立つ可能性は大いにあります。

 それとは別に、とても大切な意義として、キャンプはセーフティネットを築くレッスンとして優れているということがあると思います。セーフティネットというと、生活保護などの公的な制度が思い浮かびますが、多くの人はそれ以外にもそれぞれに「小さなセーフティネット」を持っているものです。生活保護のような社会全体で支える仕組みは不可欠ですが、その大きさ故に、個々のニーズにはうまくフィットしません。だから、それぞれのセーフティネットが大切なのです。



知恵を出し合って、工夫する。助けたり、助けられたりが、個人の安全保障のポイントです。
 小さなセーフティネットを築くポイントは、「甘えさせる」「甘える」を自然にできること。要するに「お互いさま」な状態をつくり、それに適応するという、極めて単純なことなのです。キャンプという、それぞれの得意分野を発揮したり、お互いにちょっとずつがまんしたりしないと快適に暮らせない環境は、このレッスンにぴったり。おまけに、自然の中にいるとちょっと優しく、寛容になったりもするから、効果倍増です。

 この国の社会保障には、残念なことにほころびが目立ちます。その改善は重要なテーマですが、おのおのが小さなセーフティネットを築くことも同じくらい大事。「だから、キャンプに行きましょ!」、そんなことを考えている年度末です。


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