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「デマンド交通」 詳細解説

読み:
でまんどこうつう
英名:
Demand Responsive Transport

路線バスは地域住民にとって欠かせない交通機関だが、近年、その利用者は人口減少や少子高齢化、マイカーの普及などにより減少の一途をたどっている。一方、タクシーは早くて使い勝手がよいものの、都市部を除けば誰もがいつでも利用できる環境は整っていない。また、いわゆるコミュニティバスも利用者1人当たりの輸送コストが増え、地方自治体の財政を圧迫しつつある。こうした中、路線バスとタクシーの中間にあたる、予約型輸送サービスの「デマンド交通」が注目され、各地で運行や実証事業が始まっている。

デマンド交通はデマンド型交通とも呼ばれ、正しくは「需要応答型交通システム」(DRT)という。利用者の需要(デマンド)に応えて、事前予約により運行する点が最大の特長だ。決まった経路を走る路線バスと、必要な時に呼ぶタクシーのメリットを合わせもつ。公共交通空白地域を解消するとともに財政負担の軽減を図るため、デマンド交通を導入する市町村が増加している。セダンタイプの乗用車やワゴン車などで運用されることが多い。また、運行方式、運行ダイヤ、発着地の自由度の組み合わせなどにより、さまざまな運行方式がある。

一般的な運行形態としては、利用者がデマンド交通の予約をすると、自宅や職場などの発地に車両が迎えに来るので、好きな時に着地まで移動することができる。また、同様の予約が入っていれば一緒に運ぶ。この乗り合い方式が一般のタクシーと異なる点だ。国土交通省中部運輸局は2013年に「デマンド型交通の手引き」を作成し、市町村がデマンド交通を導入する上で留意すべき点をまとめた。

それによると、同年2月末現在、48の市町村で244系統のデマンド交通が運行されている。形態としては、運行方式では定路線型と自由経路型が、ダイヤや発着地の自由度では固定型と非固定型がそれぞれ存在する。また、配車などにICTを利用するタイプと、タクシーなどと同じように無線を使うタイプがある。同運輸局は2014年に「続・デマンド型交通の手引き」を作成し、地域におけるデマンド交通活用の状況をまとめた。

陸前高田市は、通院や買い物などの日常生活を支援するため、デマンド交通の実証運行を行っている。成田市や福井市、富士宮市などにも独自のサービスがある。NTT東日本は、バス路線の廃止や縮小に悩む地域住民の新たな生活の足となる「デマンド交通システム」を提供している。

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