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「太陽熱発電」 詳細解説

読み:
たいようねつはつでん
英名:
Concentrated Solar Power

太陽から地表へと降り注ぐエネルギーは、1平方mあたりで約1kWにもなる。地球全体でみると、世界で年間に消費されるエネルギーをたった1時間でまかなうことができる量だ。この膨大な太陽の熱エネルギーを水や特殊な液体などの熱媒体にミラーなどで集めて直接吸収させ、タービンや発電機などを用いて電気エネルギーに変換して利用するのが太陽熱発電だ。省エネ二酸化炭素(CO2)削減に有効な、太陽光発電とは仕組みが違う再生可能エネルギーとして注目されている。

太陽熱発電は直射日光を活用するためエネルギーの利用効率が高く、緯度が低い地域や雲が少ない地域でも発電が行える良さがある。1980年代前半に米国・加州で運転が始まり、同国には多くのプラントがある。また、再生可能エネルギーを固定価格で買い取るFIT(固定価格買取制度)を導入したスペインでも普及している。さらに、太陽熱発電とガスタービンを組み合わせた発電所の建設計画もある。

太陽の熱を集める集熱システムには、各国ですでに実用化されている「トラフ型」と、より高効率だが実証段階にある「タワー型」などいくつかの種類がある。トラフ型では、内部に太陽光を吸収する合成油などの熱媒体が循環する集熱チューブに曲面ミラーを使って光を集めて加熱し、発生した蒸気でタービンを回して発電する。一方、タワー型では地上に設置された平面ミラーで受けた太陽光を、タワー中心にある受光部に集めて蒸気を発生させる。このほかに開発中のものとして、次世代の太陽熱発電技術として注目されている「ビームダウン型」の集光装置がある。

発電方式からもわかるように、太陽熱発電は中東や北米、アフリカ、インドなど直射日光の強い地域の方が有利で、近い将来、世界の基幹エネルギーになるものとして有力視されている。政府資料によると、全世界における太陽熱発電の市場規模は、2050年に年間発電量にして約4750TWh(テラワットアワー)に達すると予測されている。この数字は、世界全体の発電電力量の1割以上に及ぶ。

直射日光が弱い日本は太陽熱発電にあまり向いていないとされるが、わが国は太陽熱発電に関する多くの技術をもっており、この分野での海外展開を進める企業も多い。2010年7月には、日本とチュニジア両政府がチュニジア国内で太陽熱発電に関する共同プロジェクトを実施することで合意した。一方、家庭向け太陽熱発電については環境省が普及加速化事業を行っているほか、東京都も2011年度から新たな助成制度を設ける予定で、今後の普及に期待がかかる。

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