ディスポーザーは、生ごみを台所に置かずその日のうちに始末したい、老人家庭などでごみ集積場までごみを運ぶのが辛いなどという生活上の問題や、家庭ごみの中でも大きな割合を占める生ごみ削減の必要性を背景に、近年普及してきた生ごみ粉砕機である。
ディスポーザーには大きく分けて2タイプがある。「直接投入型ディスポーザー」は、流し台の下の配管に取り付け、生ごみを水と一緒に流し台の排水口に投入、ディスポーザーによって生ごみをすりつぶすように粉砕し排水管に排水する。もうひとつのタイプは、ディスポーザーで処理した後に、さらに排水浄化槽で水質を一般家庭なみの水質に処理して下水道に流す「ディスポーザー排水処理システム」である。
「直接投入型ディスポーザー」は、下水管が詰まったり、生ごみが腐敗して悪臭を放つ場合があること、下水処理の負荷が高まるなどの理由で、自治体によっては、このタイプのディスポーザーの使用自粛または禁止処置をとっている。ただし、これらの自治体でも「ディスポーザー排水処理システム」の場合には、国土交通省、社団法人日本下水道協会の認定機関によって許可を受けた製品、あるいは自治体が個別審査して許可した製品は、その使用を認めている。
ディスポーザーに関しては、水を大量に含んだ生ごみが家庭で処理できるようになれば、ごみ収集車の輸送負担が減る、生ごみによる焼却炉の温度低下を防ぐことができる、ごみ収集場の生ごみを食べて繁殖するカラスなどを減少させることができるなどと評価する意見がある反面、下水道への負荷が高まるだけでなく、食べものをすぐに捨てる習慣がついてしまう、ごみ分別への意識が低下するなどという反対意見もある。
このようにディスポーザーについては、実に多様な意見があるが、環境への影響の正確な調査・結果はまだ出ていないのが現状だ。国土交通省では北海道歌登町で、ディスポーザーが普及した場合の影響について実験をするなど、さまざまな調査を行って、2002年5月に中間発表を行った。ここでは総じて直接投入型ディスポーザーは、下水処理への負荷が高まり、最終処理場へのごみの搬入量は低減すると報告している。ただし、あくまで途中経過であって、これからさらに調査が必要としている。