世界の森林面積は40億ヘクタール近くあり、全陸地面積の3割強を占める。しかし、2000年から2010年までの10年間だけで、年間1300万ヘクタールもの広大な面積の森林が消失した。なかでも中南米や東南アジア、アフリカの国々では、生物多様性を育み豊かな生態系に恵まれた貴重な熱帯雨林が、急速に失われている。過剰な伐採や、非伝統的な焼き畑農業による影響が大きい。
国際的な森林破壊を食い止めるためには、持続可能な森林経営を世界全体で実現していくことが必要だ。このため、国連経済社会理事会は国連森林フォーラム(UNFF)を設置し、日本も参画している。また、国際熱帯木材機関(ITTO)や国連食糧農業機関(FAO)などの国際機関も、森林の劣化や減少を抑制するための活動に力を入れている。さらに、日本でもさまざまな企業やNGO/NPOが森林の持続可能な利用と生物多様性の保全に尽力している。環境省は、企業とNGO/NPOの連携による森林保全活動を「フォレスト パートナーシップ」と位置づけ、その推進を図っている。
日本の環境NGO/NPOの多くが、国外における森林保全活動にかかわっており、途上国における森林破壊や砂漠化の解決に取り組み、成果を上げてきた。しかし、民間団体に共通する課題して資金や人材の不足があり、継続的な活動が困難になる場合がみられる。一方、企業の中にも森林保全に関心をもつところが少なくないが、専門的な知見やノウハウに欠ける。両者が協力して森林保全活動を展開することで、持続可能な取り組みが可能となる。
パートナーシップの実例としては、植林による森林の再生、天然林の保護、持続可能な森林経営推進のための適正な原材料調達などがある。効果をみると、企業としては、専門的な知見やノウハウを得られ、活動の実施主体や受け皿を確保することができる。NGO/NPOとしては、活動資金を安定的に確保でき、広報面での広がりも期待できる。企業とNGO/NPOが協働することで、お互いの理念や目的を理解し、高め合い、森林をめぐる問題が解決に近づく。
環境省が開設した「フォレスト パートナーシップ プラットフォーム」は、企業とNGO/NPOのパートナーシップによる森林保全活動の目的や効果などを紹介しているサイトだ。具体的な保全の事例や、取り組みを活動地域や活動分類などの項目から検索できるデータベースもある。