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「ニホンウナギ」 詳細解説

読み:
にほんうなぎ
英名:
Japanese Eel

ウナギは、ウナギ目ウナギ科に属する回遊魚で、海で生まれ、川をさかのぼりながら大きくなり、ふたたび海へ戻って産卵する。ヘビのような円筒形の細長い体をしており、成長すると全長1mにもなる。黒褐色をしており、うろこは退化して体の表面が粘液におおわれている。ニホンウナギは世界に約20種類いるウナギの一種で、日本、中国、韓国、台湾などの東アジア海域に生息している。

産卵場所については諸説あるが、西部太平洋の西マリアナ海嶺南部の海山周辺にあると推定されており、新月の頃に産卵が行われる。ふ化したての幼生は透明で平らな形をしており、半年ほど海流に乗っているうちにシラスウナギやハリウナギと呼ばれる幼魚になって日本沿岸に漂ってくる。浜名湖などで養殖されているウナギは、このシラスウナギを捕らえて育てたものだ。また、ウナギは環境によりオスがメス化する現象が見られるが、養殖物のウナギはほとんどがオスだ。

このように謎の多い生態をもつウナギは、脂肪が多く美味であるため、古来かば焼きなどにして食べられてきた。2012年度における国内の供給量は3万7200tに及ぶが、国内産はその47%に過ぎず、約半分が中国産で数%が台湾産だ。日本だけでなくアジアなど多くの国で食用に供されているウナギのもととなるシラスウナギの漁獲量は年々減っており、野生生物として絶滅の危機が心配されている。

このため、IUCN(国際自然保護連合)は2014年6月に、ニホンウナギを「絶滅危惧種1B類(EN)」としてレッドリストに掲載した。これは、近い将来に野生での絶滅の危険性が高いことを意味する。ニホンウナギは環境省の日本版レッドリストでも、2013年2月に「絶滅危惧1B類(EN)」に指定されている。こうした動向を受けて日本では、ウナギの養殖業者や新たに養殖業を営む者に、農林水産大臣への届出を義務づけた。

レッドリストへの掲載により、国内でただちにウナギが食べられなくなることはないが、ウナギの資源管理をめぐる国際的な議論が活発化したことは間違いない。2016年に南アフリカ共和国で開催されるワシントン条約の第17回締約国会議では、ニホンウナギの国際取引規制が主要な論点となる可能性が高い。対策として、関係国の連携による漁の規制やシラスウナギ養殖量の削減など、資源管理の強化が求められている。

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