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「東京湾」 詳細解説

読み:
とうきょうわん
英名:
Tokyo Bay

東京湾は、関東地方南部に広がる海域で、三浦、房総の両半島に囲まれ、浦賀水道で太平洋につながっている。広義には、三浦半島南東端にある神奈川県三浦市の釼崎と、房総半島南西部にある千葉県館山市の州崎とを結ぶ線以北の海域を指す。その場合の広さは、幅約20km、長さ約70km、面積は1380平方kmに及ぶ。狭義には、三浦半島の観音崎と房総半島の富津岬とを結ぶ線以北の海域を指す。後者を内湾と呼び、平均水深が約15mと浅く、両岬を結ぶ湾口幅は約7kmという狭さだ。

湾の流域面積は約8000平方kmで、多摩川、隅田川、江戸川など大小約60の河川が流入する。江戸時代から大規模な埋め立て工事が繰り返され、沿岸には横浜、横須賀、川崎、東京、千葉、木更津などの大きな港がある。高度経済成長期の1950年代以降に製鉄所や石油コンビナートが建設され、京浜、京葉の両工業地帯として発展を遂げた。その後も首都圏への一極集中化に伴い、発電所や水処理施設、工業団地などが次々と造成された。現在では、全国における貿易総額の2割強、全国港湾貨物取扱量の2割弱を取り扱い、貨物船やタンカーなど1日当たり約600隻の船舶が航行する。

このように東京湾は、首都圏だけでなく日本にとって重要な海域だが、内湾と外海との間での海水の交換が非常に悪い。そこへ後背地にある都市から大量の排水が流入するため、窒素やりんなどによる富栄養化が進み、生態系に多大な負荷を与えている。また、赤潮青潮なども頻発している。東京湾には三番瀬や盤州干潟、富津干潟などの貴重な干潟や浅場があり、もともと多くの希少な魚介類が生息していた。しかし、水質の悪化や埋め立て、沿岸域の廃棄物問題などが原因で生態系が崩れ、貴重な生物多様性は危機に直面している。

国は水質汚濁防止法に基づき、東京湾を対象として水質総量規制を実施している。排水に含まれる汚濁物質を、濃度ではなく含まれる量に着目して規制する手法だ。しかし、COD、窒素、りんのいずれも目標達成には至っていない。また、多くの船舶が航行する東京湾は、常に海難事故とそれに伴う海洋汚染の危険にさらされている。1997年7月に発生した「ダイアモンドグレース号原油流出事故」は、その代表的な事例だ。

東京湾の水質を改善して自然豊かな海にしていくため、国土交通省は「全国海の再生プロジェクト」の一環として、藻場や干潟の再生、海辺の清掃、環境教育、下水道の整備などに力を入れている。また、2013年11月には、市民や企業、行政が協力して東京湾の再生を目指す「東京湾再生官民連携フォーラム」が発足した。このほかに、NGO/NPOによる保全や再生の取り組みも盛んだ。

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